昨年開催されたパラリンピックのテレビ中継で、車いすバスケットボールの試合を目にしたとき、その並々ならぬ気迫に圧倒され、画面にくぎ付けになりました。この大会でパラ競技のファンになったのは私だけではないでしょう。
そんな興奮がまだ記憶に残る年明けに、オシャレな義足の展示があると知り、会場となっているラコルタ柏内の障害者等自立支援室「あ・えーるテラス」で、コーディネーターの石垣裕子さんにお話を伺いました。
アスリートの義足がオシャレすぎる~!
Q:なぜ義足の展示を?
石垣:昨年、竹中工務店本店内にある「GALLERY A4(ギャラリー エー クワッド)」で、「立つ、歩く、走る――義足でこえる心の壁」という展覧会を見に行ったことがきっかけとなりました。
障害を補うための義足が、隠すものでなく見せるものだという…衝撃をうけました。ミニスカートをはくことを意識したものやLEDライトがついているものなど、ステキなデザインの義足がたくさん展示されていたんです。
Q:窓際にカラフルな義足が並んでいますね。
石垣:今は3Dプリンターで、その人にあった型のもの一つができれば、同じサイズのものがいくつも作れるようになったそうです。
ここにある3点の義足の持ち主である大西瞳さんは、幅跳びのパラリンピアンなんですが、このハイビスカスの模様をトレードマークにしているんです。
ポケモン義足に、カラクリ義足!?
Q:人気キャラクターのデザインもありますね。
石垣:これは子ども用で、お子さんが気に入っている布地を利用して作ったものですね。お子さんは成長するので、取り換える頻度も高いんです。足の裏には、持ち主のお子さんの名前も書かれているんですよ。
個性を魅せる! 切断ヴィーナスたち
Q:同時開催の写真の展示もステキですよね。
石垣:写真家の越智貴雄さんという方が「切断ヴィーナス」というプロジェクトをおこなっていて、同名の写真集をカレンダーにしたものをご許可いただいて展示しています。
被写体となっているのは、アスリートだけでなく、学生やアーティストなど、義足ユーザーたち。彼女たちはファッションショーにも出演していて、YouTubeでもその様子を見ることができるんですよ。
↓「切断ヴィーナスショー2020」の動画はこちら↓
URL: 「切断ヴィーナスショー2020」
Q:美しいだけでなく、存在感が半端ないですよね。
石垣:自分を見せることを決めた人たち……覚悟を決めた強さではないでしょうか。
Q:表現したいという、この原動力はどこからくるんでしょう。
石垣:彼女たちは障害をできない理由にしていないんですよね。視力検査のランドルト環に例えると、あのマルは欠けているところに焦点を当てていますよね。でも、線があるところの方が多い。それと同じように、ないものにとらわれず、やりたいことをやっていくという…。
Q:お客さんの反応はいかがですか?
石垣:ショーウインドーからカラフルなものが見えて、「なんだろう?」と思って来館したという方がいらっしゃいました。こんなふうに義足や障害をもった方について知っていただくきっかけになればと思います。
Q:最後に、お客さんにはどんなところを見てほしいですか?
石垣:写真のヴィーナスたちの表情一つとっても、人によって受けるとメッセージは違うと思うんです。自分の感性で何を感じるか、じっくり味わっていただけたらうれしいです。
魅せるGHISHI展
- 障害者等自立支援室「あ・えーるテラス」
【住所】柏市柏 5-8-12 ラコルタ柏(柏市教育福祉会館)
【開催期間】2022年1月5日(水)~2月28日(月)の月・水・金曜日
【開館時間】10:00~16:00
【休館日】火・木・土・日曜日、および祝日
【入場料】無料
【協力】公益財団法人鉄道弘済会「義肢装具サポートセンター」
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この記事を書いたのは…
「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子
柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。