2016年、流山市大畔にオープンした「森の美術館」。
木々に囲まれた緑豊かな落ち着いた環境で、ゆっくりと作品を鑑賞でき、前回ご紹介した柏市の「中村順二美術館」と並んで、筆者が大好きな美術館のひとつです。
現在開催中の企画展は「田中里奈 木版画展」(前期:4月5日~5月18日、後期:5月21日~6月28日)。
初の木版画展開催ということで、館長の森忠行さんにお話を伺いました。
竹林など木々に囲まれた森の美術館。すぐ近くにおおぐろの森小学校があり、授業の一環として児童たちが見学に来ることもあるそうです。
いざ、「田中里奈 木版画展」へ。
従来の版画とは異なる大胆な作品
――大河ドラマの影響もあって版画ブームが起きていますが、なぜ田中さんの版画展を開催することになったのですか?
森氏:実は、大河ドラマは想定外だったんですよ(笑)。数年前、偶然、田中先生の作品を目にしたとき、どこかで見たことがあるなあと気になり、後日、東光会や日展を訪れたとき、ここで見たんだと思い出したんです。それから、従来の版画のイメージと違う田中先生の作品展を実現したいと思うようになりました。
――田中さんの作品の魅力は?
森氏:100号のキャンバスからもはみ出しそうな迫力があって、大胆なところがいいですよね。
会場に入ると「リズム」という大型作品がお出迎え。
「凝視」というタイトルの2作品。トラたちは、こちらを睨みながら、今にもキャンバスから出てきそうな勢いです。
田中氏が制作に使用する道具と版木。「版画は紙を上げるまで成功か失敗かわからない。そのワクワクした気持ちがたまらない」と田中氏(森の美術館ホームぺージより)。
赤い壁に注目!
――展示にあたって工夫したことはありますか?
森氏:今回、巡回している1点以外は額装していないんです。その方が作品の魅力が伝わるのではないかと思って。実際、「絵が飛び出してくる感じがいいですね」と、ある画家の先生からお褒めの言葉も頂戴したんですよ。
――奥の壁を赤い色にしたのは狙ったんですか?
森氏:(にやっと笑みをうかべて)はい。業者さんと相談して、赤い布を購入して、張っていただきました。
――田中さんの作品と絶妙にマッチしていますよね。
椅子に座ってゆっくり田中氏の世界観をお楽しみください。筆者の推しは、真ん中の「Fuji」という作品。
真ん中の細長い枠はガラス窓になっています。緑の竹林がさりげなく見える演出は、オシャレポイント!
じっくり眺めると…
――お客様の反応はいかがですか?
森氏:いつもよりお客様がじっくり見ていらっしゃるんです。眺めているうちに、いろいろなものが見えてくるので。
――テーマごとに展示されているので、何が描かれているのか探すのも楽しいですね。
真ん中の「魚達」は、描かれているものがバラエティ豊かで、とってもユニーク!
館長の森忠行氏。お隣の作品「灯り」もじっと見ていると、何かを語りかけてきそうです。
「田中里奈 木版画展」は28日まで!
――数か月にわたって一人の作家の作品が一堂に会するのが森の美術館の特徴ですが、次回の企画展は?
森氏:9月10日から、洋画家・西房浩二さんの作品を展示します。ヨーロッパの何気ない風景を描かれているのですが、これがまた、たまらなくいいんです。
――次回も今から楽しみですね。最後に一言お願いします。
森氏:「田中里奈 木版画展」もいよいよ6月28日(土)までとなりました。ぜひお越しいただき、田中先生の熱い思いを感じていただければと思います。
――私もすっかりファンになりました! 今日はありがとうございました。
鑑賞後、竹林とお庭を眺めながらの喫茶タイムも、筆者の密かな楽しみです。
「田中里奈 木版画展」前期の赤壁の前で。筆者がこの日着ていたワンピースが、作品と妙に統一感があったので、おまけのショットです。
「田中里奈 木版画展」チラシ
「田中里奈 木版画展」 ~ イマ、版と共に…~
- 【開催期間】2025年4月5日(土) ~ 6月28日(土)
〈前期〉2025年4月5日(土) ~ 5月18日(日)
〈後期〉2025年5月21日(水) ~ 6月28日(土)
【開館時間】10:00~16:00(入館15:30まで)
【入館料】大人600円、中・高生300円、小学生以下無料
【休館日】月・火曜日
【駐車場】7台
【住所】千葉県流山市大字大畔(おおぐろ)315
【TEL/FAX】04-7136-2207
【最寄り駅】「流山おおたかの森駅」西口
〈徒歩〉20分
〈バス〉東武バス西口ロータリー2番のりば(南流山駅・クリーンセンター行)大畔下車、徒歩5分
または、流山ぐりーんバス(西初石ルート)1番のりば、おおぐろの森中学校前下車 徒歩1分
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この記事を書いたのは…
「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子
柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。