176号線の豊中郵便局前を梅田方面からだと右、宝塚方面からだと左へ300mほど行くと左手に
小さな陶磁器店があるのをご存じだろうか?
この地に1987年(昭和62年)に開店以来37年続く名店「巷談舎」がある。
オーナーの山根さん曰く、ご近所の人に「もうすぐ潰れるだろう」と噂されていたと言う。
しかし37年も続くにはやはり理由がある、、
1.“好き”が力
山根さんはもともと東京育ち。お父様の仕事柄厳しい家庭で育ったそうで大学進学時に親元を離れたくて
大阪の大学に進学。活発な学外活動?の最中、国境を越えたくなってバックパッカーとなり、まずはアメリカ、カナダへ。
半年で帰国したが、次はカオスを感じたくなり東南アジアへ。ネパールを起点に台湾、香港、タイ、インド、マレーシアと動き回った。ツアーガイドなどをしながら1年半滞在。まさにこの期間の経験が生き方に大きな影響を与えた。
帰国後、教員免許を取ったものの学校が荒れていた時代、教師にはならずいろいろな仕事をして食いつないだ。
バックパッカーの経験を生かしツアーガイド、格安チケット屋、出版プロダクションなど1年ごとに職を転々とし、
最後はエクステリアの会社の現場監督を務めたが、見積もり作成など苦手なパソコンを使う仕事が
増えるにつれストレスも増加。ついに耐え切れなくなり4年で退職した。
学生時代から海外を見て回り、世界や人間の裏表の多くを知ったことを土台に、日本で働きながら自分の好き嫌いを
見極め、ついに1987年「巷談舎」の誕生となった。
ここは作品だけでなく作家という人も含め、山根さんが“好き”でなければ店頭には並ばない。
だから強固な発信力となるのだ。
2. 品揃えの妙味
前述のように山根さんの“好き”を集めた品揃えだが最初から上手くいったわけではない。
まずは京都の作家の作品を並べたがそうそう簡単に売れるはずはない。おまけに山根さんはほとんど接客販売の
経験がない。
当初有名メーカーのスピーカーの上にコンパネを置き布を被せて商品を展示。
店内ではジャズを流し、一見ステキな空間に思えるが、接客が恥ずかしい山根さんは新聞を読むふりをしてお客さんと目を合わせないようにしていたとか。これでは売れるはずはない。
接客経験を積みながら年中無休にするなど、トライ&エラーを重ねながら品揃えも変わっていった。
備前や唐津の産地を訪れ、気になる作家の個展へ通うなどした。
有名無名に拘わらず、作品と人間性ともに素晴らしいと思えばどんどん品揃えに加えていった。
古典的なものからカジュアル、ポップなものまで幅があるのが「巷談舎」の魅力。
いずれにせよ山根さんに認められたホンモノであることは間違いない。
3. 熱烈なファンに支えられて
現在は個人客もさることながら料理屋さんにも大人気。
お店のオーナーが足繫く通い、料理の映え具合を考え購入していく。こだわりの強い料理人御用達なのである。
この店で器を購入している料理店のうち某料理ガイドブックの星付き店が両手に余るほどある。
また個人のコレクターも多く、特定の作家の作品を集める方やお猪口を集める方など様々。
どちらにしても正直で飾らない山根さんを慕って訪れるお客さんが多い。
これには山根さんも「お客さんに支えてもらっている」と何度も感謝の言葉が出ていた。
いろいろ苦労を重ねた上に自らの理想的な環境を作り出し、無理な販売は一切しないというスタイルを貫いたからこその現在である。
そしてお知らせ
こんなファンに愛されているお店ですが、現在の店舗は諸々の事情により、来年2025年11月に移転となる。
移転先は現在物色中ですが、大阪市内と考えているそうだ。
気になる方はお店を訪れ、記帳をしておくとイベント情報のダイレクトメールが送られてきます。
面倒であればホームページ、インスタグラムを要チェック!
ちなみにダイレクトメールはプロが撮影した写真が美しい、山根さんのこだわりが詰まった“作品”になっている。
URL: 「巷談舎」のインスタグラムはこちら
巷談舎
- 〒560-0021 大阪府豊中市本町5丁目13−44 小谷マンション
電話: 06-6843-6948
定休日:日曜
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この記事を書いたのは…
ジモトミンM’ckirie
約20年箕面に住んでいました。現在は宝塚住民です 小学校から高校まで市内の学校に通学。 青春時代を過ごした箕面を中心に北摂の魅力を自分自身再確認しながら寄稿していきます!