【柏市】登録有形文化財「染谷家住宅」一般公開スタート!着物で散策、和体験!〈後編〉

前編では、国の登録有形文化財「染谷家住宅」についてご紹介しましたが、染谷家住宅および周辺には中世・近世の面影が残っているというところが、鷲野谷の最大の魅力ともいえるのではないでしょうか。

後編では、エリアごと古き良き日本の和の雰囲気を味わうことができる鷲野谷観光の見どころをご紹介しましょう。

染谷家住宅「ナカノマ」の障子から庭園をそっと眺める二人(写真撮影:小川兄弟)

染谷家住宅「ナカノマ」の障子から庭園をそっと眺める二人(写真撮影:小川兄弟)

鷲野谷ってどんな地域?

手賀沼南岸の台地上にある鷲野谷。
およそ700年前の南北朝時代には、「鷲野谷村」という地名が文献に登場しています。

それだけでも歴史の長さを感じますが、このあたりでは、縄文時代後期から晩期の「岩井貝塚」が発見されたり、古墳も複数点在していたりすることから、豊富な自然と地形の特徴を生かして、古くから人々が暮らしていたと考えられます。

医王寺で祈りを捧げる和服の女性(写真撮影:小川兄弟)

医王寺で祈りを捧げる和服の女性(写真撮影:小川兄弟)

鷲野谷の見どころ①医王寺

染谷家住宅から数分歩いたところに、医王寺という古寺があります。

近隣の手賀沼寄りの場所に、荒廃した天台寺院跡と薬師堂が残されていたのを目にされた経誉愚底上人(きょうよぐていしょうにん)という高僧が、寛正2年(1461)に現在の地に移して、浄土宗のお寺として再興されたのがはじまりです。

医王寺山門。医王寺には、明治初期に鷲野谷学校(現在の手賀西小学校の前身)が置かれ、のちに日本人に適した点字を完成させた“日本点字の父”石川倉次も、一年間教鞭をとっていました。(撮影:小川兄弟)

医王寺山門。医王寺には、明治初期に鷲野谷学校(現在の手賀西小学校の前身)が置かれ、のちに日本人に適した点字を完成させた“日本点字の父”石川倉次も、一年間教鞭をとっていました。(撮影:小川兄弟)

医王寺薬師堂。ご本尊は、平安時代の天台宗の僧・恵心僧都源信作と伝えられる薬師如来坐像(柏市指定文化財)。12年に一度、寅年に御開帳されるので、次に拝顔できるのは2034年になります!(撮影:小川兄弟)

医王寺薬師堂。ご本尊は、平安時代の天台宗の僧・恵心僧都源信作と伝えられる薬師如来坐像(柏市指定文化財)。12年に一度、寅年に御開帳されるので、次に拝顔できるのは2034年になります!(撮影:小川兄弟)

薬師堂の裏には、経誉愚底上人のお墓があり、そのお堂の上には2本の錐(きり)が飾られています。錐は穴を開けて通りをよくする道具。耳の病を患った人が、お薬師様に治していただくために、この錐を用いて祈願しました。(撮影:小川兄弟)

薬師堂の裏には、経誉愚底上人のお墓があり、そのお堂の上には2本の錐(きり)が飾られています。錐は穴を開けて通りをよくする道具。耳の病を患った人が、お薬師様に治していただくために、この錐を用いて祈願しました。(撮影:小川兄弟)

鷲野谷の見どころ②香取神社

創建年代は不明ですが、もともと鷲野谷村と岩井村の村境にあったものを、1740年に現在の地に移したと伝えられています。

ご祭神は経津主命(ふつぬしのみこと)。武力に優れた神様です。
勝負運に恵まれるということから、試験・試合や交渉事などにご利益があるといわれています。

社殿正面の見事な「昇り龍」と「降り(くだり)龍」の彫刻は必見! 昇り龍は、これから天に昇って知恵の宝玉を取りに行こうとする姿、降り龍は、天に昇りつめた龍が知恵の宝玉を手に入れて、地上の人々に伝えようとする姿です。(写真撮影:小川兄弟)

社殿正面の見事な「昇り龍」と「降り(くだり)龍」の彫刻は必見! 昇り龍は、これから天に昇って知恵の宝玉を取りに行こうとする姿、降り龍は、天に昇りつめた龍が知恵の宝玉を手に入れて、地上の人々に伝えようとする姿です。(写真撮影:小川兄弟)

下部には、中国古来の孝行に優れた24人をとりあげた教訓書『二十四孝』のうち、3つのお話の彫刻があります。左端は「楊香」。楊香とお父さんは、山の中で虎に出会い大ピンチ! 楊香のある親孝行な行動によって窮地を脱出します。(写真撮影:小川兄弟)

下部には、中国古来の孝行に優れた24人をとりあげた教訓書『二十四孝』のうち、3つのお話の彫刻があります。左端は「楊香」。楊香とお父さんは、山の中で虎に出会い大ピンチ! 楊香のある親孝行な行動によって窮地を脱出します。(写真撮影:小川兄弟)

鷲野谷の見どころ③星神社

星神社は、中世に、柏、我孫子、茨城県南部を含む旧相馬郡をおさめていた相馬氏が信仰した妙見堂として創建されました。

妙見とは北斗七星や北極星のことです。
社殿のどこかに「☆」が描かれているので、ぜひ探してみてください。

星神社では毎年2月に「鳥ビシャ」という行事がおこなわれます。 しん粉という、うるち米の粉のお餅を練って鳥の形にしたものを、盆栽のようにしつらえた鳥木(トリボク)という木に飾ってお供えする行事で、約400年続いています。

星神社では毎年2月に「鳥ビシャ」という行事がおこなわれます。 しん粉という、うるち米の粉のお餅を練って鳥の形にしたものを、盆栽のようにしつらえた鳥木(トリボク)という木に飾ってお供えする行事で、約400年続いています。

着物を着て散策・和体験ツアー

鷲野谷に魅せられて以来、柏の歴史にはまって「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げた私ですが、本格的に柏の歴史観光スポットをご案内するべく、柏に特化した旅行会社「かしわグリーン観光社」を8月に設立しました。

その第一弾として、鷲野谷和体験ツアー「まるっと江戸情緒、たっぷり和体験」を企画しました。
着物を着て、染谷家住宅での人力車、お箏(こと)、お茶体験、鷲野谷産ワインの試飲、医王寺での木魚・念仏体験など、鷲野谷で江戸情緒を満喫していただくというツアーです。

ツアー詳細は弊社のホームページをご覧ください。

↓かしわグリーン観光社ホームページ↓

染谷家住宅前の小道を歩く女性たち(写真撮影:小川兄弟)。この小道をぜひ人力車で!

染谷家住宅前の小道を歩く女性たち(写真撮影:小川兄弟)。この小道をぜひ人力車で!

クラファン11月11日まで実施中!

現在、鷲野谷和体験ツアーのPR動画制作のために、クラウドファンディングを実施しています。

支援者の方で希望される方は、動画撮影にもご出演いただけるので、この機会に、ぜひ一緒にたおやかにしなやかに鷲野谷を盛り上げていきませんか?

11月11日までクラファンを実施しておりますので、温かいご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

染谷家長屋門に佇む和装の女性。クラウドファンディングのアイキャッチにも使われているこの写真の女性は、柏市在住の日本画家さんです。着物を着る機会も多いということでモデルになっていただきました。(写真撮影:小川兄弟)

染谷家長屋門に佇む和装の女性。クラウドファンディングのアイキャッチにも使われているこの写真の女性は、柏市在住の日本画家さんです。着物を着る機会も多いということでモデルになっていただきました。(写真撮影:小川兄弟)

東光山医王寺

【柏市】登録有形文化財「染谷家住宅」一般公開スタート!着物で散策、和体験!〈前編〉

令和2年から修復工事をおこなっていた国の登録有形文化財「染谷家住宅」の一般公開が、10月6日からはじまりました。 染谷家住宅や周囲の鷲野谷地域の魅力、観光のポイントを、前編・後編の2回に分けてご紹介いたします!

「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。

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