【綾ノ町】辰巳木柄製作所・辰巳博康さん<後編>やっぱり堺は“ものづくり”の街

【綾ノ町】辰巳木柄製作所・辰巳博康さん<後編>やっぱり堺は“ものづくり”の街

さまざまな魅力を持つ堺ですが、街の魅力を生み出すものは、やっぱり人!

前回に続き、辰巳木柄製作所の辰巳博康さんをご紹介します。後編では、職人文化を発展させる壮大な夢を語っていただきます。

現在は父(左)と2人で柄の製造を続ける

 

 

卒業制作から生まれた夢

前編でもご紹介しましたが、学生時代は建築を学び、家業を継ぐつもりはなかったという博康さん。しかし、卒業制作と大学院での研究で改めて家業に目を向けます。そこで取り組んでいたのは、たくさんの工房が1か所に集まる「ビル」の設計でした。

「堺の市街地に新しい工房を増やすのは難しくなっています。一方で職人の文化は残したい。そのために、いろいろな工房が1か所に集積するビルがあれば、若い職人さんが活躍しやすくなると考えたんです。

さまざまな職人がそこでつながり、大きい機械などは共有すれば、独立のハードルも下がると思います。ファクトリーツアーなどを通して、新たな観光資源になることも期待できます」

職人ビル構想の模型(ホームページより)

 

博康さんが描く職人ビル構想は、もちろんすぐに実現できるものではありません。今は、この構想に賛同する職人や協力者を集め、計画が動き出すための土台づくりに力を注いでいます。その原動力は、どこにあるのでしょうか。

「小さい頃からいろいろな職人さんが家に出入りしているのを見ていましたが、ひとつひとつ異なる依頼に応えようとする職人魂にカッコよさを感じていました。規格を決めて量産するのは機械の方が適していますが、1点もののオーダーにも対応できる手仕事のカッコよさも残したいんです」

コーティングなしで表面をツルツルに仕上げるバフ研磨

 

職人を市民の誇りに

職人文化を残そうと尽力する博康さんに、堺の魅力について聞いてみました。

「大学で神戸に出たときや、海外へ短期留学したとき、改めて『堺はものづくりの街だな』と実感しました。その魅力は、住宅地と工房が共存していること。これは、堺の外に出たからこそ感じたものです」

 

一方で、次のような課題とともに、自身の夢も語ってくれました。

「私の父が若かった頃、柄を作る工房は堺に60軒くらいありました。それが今は4軒のみで、職人の数も減っています。包丁文化を途切れさせないためにも『職人になりたい』と思う人を増やしていかないといけません。

堺の皆さんが『うちの地元には、こんなすごい職人がいる』と自慢できるような存在になること。私たちがいることで、堺に誇りを持つ人が増えること。そんな関係性を築き、職人文化を後世に残していければ、最高に幸せですね」

博康さんが始めたinstagramでは、包丁文化についてさまざまな情報を発信

 

最後に、辰巳木柄製作所では木柄づくりの職人さんを募集しているそうです。記事を読んで興味を持った方は、ぜひコチラから問合せてみてください!

 

辰巳木柄製作所

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ジモトミンフーキー

泉北でフリーライターをしています。町の小さな会社や、そこで働く人たちのストーリーを紡ぎながら町の魅力を紹介したいと考えています。泉北が「明るい未来に向かって積極的に挑戦する人」であふれる町になればいいなぁ、などと思いつつ。よろしくお願いします。

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