令和2年から修復工事をおこなっていた国の登録有形文化財「染谷家住宅」の一般公開が、10月6日からはじまりました。
染谷家住宅や周囲の鷲野谷地域の魅力、観光のポイントを、前編・後編の2回に分けてご紹介いたします!
そもそも染谷家って?
柏市の南東部、手賀沼に接する鷲野谷。
染谷家の人々が鷲野谷で地主としての暮らしをはじめることになった大きな出来事は、400年以上前にさかのぼります。
時は戦国時代。
豊臣秀吉が最大のライバルである後北条氏と戦った「小田原征伐」の際、東葛地域を支配していた高城氏は北条氏に味方していました。
小田原城を落城させた秀吉は、その後天下統一。
染谷家は、北条氏とともに敗れた高城氏の家臣でした。
染谷家には、主君・高城胤則(たねのり)から染谷二郎右衛門尉(じろうえもんのじょう)に送られた手紙が代々伝えられてきました。
家族を養うために、農民になってもいいし、他に仕官してもいい。
この家臣を気遣う主君の手紙をきっかけに、染谷家は鷲野谷で帰農することを決意したのです。
染谷家住宅の見どころ①「長屋門」
染谷家は主屋、長屋門、前蔵、風呂場などの8棟の建造物が国の登録有形文化財となっています。
なかでも長屋門は天保5年(1834)に建造され、染谷家住宅のなかでも最も古い建物です。
長屋門というのは、門の両側に部屋が連なっている形式の門。
長屋の真ん中に門があるようにみえるところから名付けられました。
江戸時代に、城下町の武家屋敷の門としてはじまったものですが、のちに、名主を勤めた農家などでも造られるようになりました。
染谷家住宅の見どころ②「主屋」の外観
長屋門を通ると、美しいL字型に曲がった建物が目に入ります。
この形式は、その名も「曲がり家(まがりや)」とよばれる伝統家屋の様式のひとつ。
主に東北地方で見られる様式なので、柏で曲がり家が見られるのは、染谷家住宅だけ!
かつて守谷から染谷家に嫁いだ方の影響ともいわれています。
染谷家住宅の見どころ③「ナカノマ」「オクノマ」「庭園」
どのお部屋もゆっくり見ていただきたいのですが、特別な客人を迎えた「ナカノマ」「オクノマ」は気品と安らぎのある空間となっていて、染谷家の人々のおもてなしの心が感じられます。
染谷家住宅の見どころ④長屋門と周囲の景観
染谷家の長屋門は、周囲の土塁と併せて柏市の景観重要建造物指定になっています。
この染谷家の敷地の一辺に沿って歩く数十メートルの小道は恐らく中世の人々も通っていたのではないか…。
そんな歴史の長さを感じさせる趣きがあり、癒しの空間となっています。
後編では、さらに鷲野谷観光の魅力を!
後編は、染谷家を含む、中世近世がエリアごと残る鷲野谷の魅力、そして着物を着て和体験ができる鷲野谷観光についてご紹介します。
お楽しみに!
↓後編はこちら↓
URL: 【柏市】登録有形文化財「染谷家住宅」一般公開スタート!着物で散策、和体験!〈後編〉
染谷家住宅
- 【住所】千葉県柏市鷲野谷24
【開館日】毎週日曜日
【開館時間】10:00~16:00
【入館料】
一般:500円
柏市民・シニア・障がい者:400円
高校生・大学生:200円
中学生以下:無料
「染谷家のたたずまい~歴代当主が培ってきたもの~」
- 【主催】柏市教育委員会
【展示期間】2024年10月6日(日)~2025年3月9日(日)
【開館時間】9時30分~17時00分
【会場】柏市郷土資料展示室(千葉県柏市大島田48-1)
【休館日】月曜日休館(祝日を除く)
【入館料】無料
【駐車場】無料(柏市沼南庁舎と併用) URL:https://www.city.kashiwa.lg.jp/bunka/bunkazai20240902.html
【柏市】登録有形文化財「染谷家住宅」一般公開スタート!着物で散策、和体験!〈後編〉
前編では、国の登録有形文化財「染谷家住宅」についてご紹介しましたが、染谷家住宅および周辺には中世・近世の面影が残っているというところが、鷲野谷の最大の魅力ともいえるのではないでしょうか。 後編では、エリアごと古き良き日本の和の雰囲気を味わうことができる鷲野谷観光の見どころをご紹介しましょう。
「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子
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この記事を書いたのは…
「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子
柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。