大阪大学理事・副学長、工藤眞由美さんに聞く【北摂しあわせ2.0】

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<Profile>

工藤眞由美さん
大阪大学理事・副学長

愛媛県⽣まれ。1979年東京⼤学⼤学院⼈⽂科学研究科博⼠課程単位習得退学。博⼠(⽂学)。専⾨分野は⽇本語学。⾔語接触論。1998年⼤阪⼤学⽂学部教授。2015年8⽉より現職(男⼥協働推進、広報担当)。2016年4⽉より⼤阪⼤学男⼥協働推進センター⻑を兼ねる。

 女性同士の絆、シスターフッドを大切に

 男性も女性も性別に関係なく使えるオールジェンダーのトイレや、学内保育ができる「コラボレーティブ・スペース」を新設し、ジェンダーギャップ解消をすすめる大阪大学。
その立役者が、男女協働推進担当で、理事・副学長の工藤眞由美さん。自身の学生時代のお話や、〝しあわせ〟のヒントについて伺いました。

訪れたのは、大阪大学の吹田キャンパス。敷地内はとにかく広大で、その面積は、約100万㎡にものぼるのだそうです。

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吹田キャンパス、正門近くの、共創イノベーション棟内に男女協働推進センターがあります。
その中に、昨年11月、コラボレーティブ・スペースができました。

壁には、木彫りの麻の葉のモチーフが。
麻の葉は、子供の健やかな成長を願うデザインです。

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こちらは、大阪大学の教職員と学生が利用できるスペース。一時預かり保育や、女性研究者、教職員、学生が交流できる場としても使われています。とても素敵な場所です。

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次に、オールジェンダー対応のトイレ(写真下)。
「M」MEN、「W」WOMENのお手洗いのほかに、
誰でも利用できる、ALL GENDERの「A」があります。

シルバーとグレーの迷彩柄のような模様。デザインもサインも、とってもおしゃれ。
オールジェンダーのトイレ内にはベビーベッドも用意されています。

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大阪大学では、「SOGI(ソギ)」の考え方を取り入れているのだそう。

「SOGI」とは、「Sexual Orientation & Gender Identity」の略。
日本語では「性的指向と性自認」と訳すのだそう。なんだか難しそうですが、「LGBT」である人も、そうでない人も、「誰もがそれぞれの性的指向・性自認をもっている」という意味です。大阪大学では、いち早くこの考え方を取り入れ、ALL GENDERに対応しています。

ほかにも、次々と、ジェンダーギャップ解消の取り組みが。
産学官の共創で、女性研究者を育成するダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)のほか、
昨年は、リケ女イベント「のぞいて見よう! 理系女子のいま」を開催。女子高校生を対象に、現役女子大生との女子トークや、地殻の鉱物を観察する実験デモンストレーションを実施しました(写真下)。

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また、これら女性活躍推進事業をサポートするための寄付を、「大阪大学未来基金」で募集しています。

-男女協働推進担当理事として、様々な事業をすすめる工藤さん。大阪大学の常任理事としては紅一点の存在です。女性の可能性を見出し、活躍するフィールドを開拓されておられますが、ご自身の学生時代は、どのように過ごされていたのでしょうか?

高校生の時は、医師になりたくて、東京の大学の医学部を受験したいと考えていました。ところが、両親の猛反対にあいまして…。
「女性が医学部なんてありえない! どうしても医学部に行きたいなら地元の大学にしなさい。もし、東京に行くなら、女子大でなければ許可できない」と言われたんです。

苦渋の決断を迫られて〝東京に行く〟ことを選んだのですが、当時、東京で、女子大といえば、津田塾、東京女子、日本女子の3大学。結局、津田塾大学に行くことにしたのですが、ちょうど、大学紛争のころで、授業が少なくほとんど勉強ができなかったのです。

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東京大学大学院へ、しかし女性院生の就職率は1%!

そこで、東京大学の大学院に進み、言語の勉強をすることに決めました。50年程前でしょうか。その頃は、東京大学の院生の内、女子院生は約1割。その中で、修了後に就職できる女性は1%でした。

当時大学では、女性教員の採用がなく、研究所も、研究員は男性、研究補助員は女性と決まっていました。今では考えられないことなのですが、“女性が研究員になると、女性同士で必ずもめ事を起こす”という都市伝説のようなことが、まことしやかに言われていて、研究員としての採用は望めませんでした。

また、院生時代、24歳で結婚しました。当初は、奨学金と高校の非常勤講師のお給料で、自分で大学院の学費を捻出し、経済的に自立できていたのですが、
子供が生まれてからは、子供を預かってもらえる場所がなく、働くこともできなかったので、夫の給料で生活することになりました。

就職先も望めない、経済的に自立もできない…。
そんな自分にモヤモヤしている時期がありましたが、指導教授が「文系なら、10年の遅れは取り返せるから、焦らなくても大丈夫だよ」と言ってくださいました。その言葉が心の支えになりましたね。

大学院を修了してから、10年後くらいでしょうか。時代の流れが変わってきて、大学の専任講師の職を得ることができました。

-これからの時代、必要と思われる「しあわせ」とは、何でしょうか。

必要なのは、ただ一つだけ。ネットワークです。

私も、テレビ局や、出版社に勤めている友人がいて、違った視点で、さまざまな助言をもらったお蔭で、色々なことができたと思っています。

昔は〝女同志に友情はあり得ない〟なんて言われていましたが、とんでもない!
シスターフッド=女性同志のネットワークは、素晴らしいですよ。

友達の友達は…の感覚で、ネットワーク作りを

元厚生労働省事務次官の村木厚子さんに、大阪大学の招へい教授をお願いしており、
昨年2月に、シンポジウムでパネリストとしてご登壇いただきました。
同世代ということもあり、初めてお会いした時に、すぐに意気投合したのですが、
どこかそわそわされていると思い、伺ってみると「もうすぐ娘に子供が産まれるのです」と。
会の終了まで、まだ少し時間があったのですが、「そのような事情でしたら、少しでも早く娘さんの元へ行かれてください」と申し上げました。

女性同士の絆って、結束すると強固なのですが、臨機応変でゆるい部分もある。男性とは少し違いますよね。

同じ人とばかり話していると、新しい展開って、見えてこないでしょう。
同僚と「うーんわかるわかる…」とか言いながら、なんとなく愚痴っぽくなってきたり…。

〝友達の友達はみな友達〟という感覚で、さまざまな人とのネットワークを持つことで、多様性が生まれる。ダイバーシティですよね。この繫がりが、新しい種となったり、自分を成長させてくれる糧となるのです。
それが、幸せに生きるための一番の近道だと思います。

-北摂地域で一番好きなところを教えてください。

やはり、大阪大学ですね。学びがあり、緑があり、美しい場所だと思います。
万博公園と、エキスポシティも大好きです。今は深緑がまぶしい最高の季節だと思います。

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