秋の訪れとともに、柏のまちはアートでいっぱい。
現在、柏モディ前には川上和歌子さんの「Blooming―毎日のように新しい花が咲く―」が、ドン・キホーテ横には、池平徹兵さんとワークショップ参加者のコラージュ作品「栢花共生」が展示されています。
川上さんの巨大タンポポ制作現場と池平さんの本気のワークショップを密着取材し、今年のメインアーティストお二人の作品をご紹介いたします。
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URL: 【柏市】柏の街にアートの花が咲き乱れる!? アートラインかしわ20周年「栢花繚乱」
タンポポに込められた思い
まずは川上和歌子さんにタンポポへの思いをうかがいました。
――近年はインコの傍ら、タンポポを制作されていますが、きっかけは?
川上氏:10年前に長野の上田城を訪れたとき、咲いている花、倒れている花など、表情豊かなタンポポの群生を見て感銘を受けたことからです。
――どんなところに惹かれたのですか?
川上氏:タンポポは咲き終わると、地面に倒れてしまいます。一見枯れたように見えるのですが、実は種の準備をしていて、準備が整うと再び起き上がって、花が咲いたときよりもさらに茎を伸ばして、種を遠くへ飛ばします。そんな生命力あふれるタンポポに尊敬の気持ちを抱きました。
――これだけの量のタンポポを制作するのにどのくらいの時間がかかりましたか?
川上氏:たくさんの花が必要なので、一年くらいかけています。
――すべて川上さんの手で?
川上氏:はい。命あるものを表現するという尊敬の気持ちを込めて、自分の手で作っています。毎日食事をとるように向き合い、だからこそ、タンポポに近づかせていただけると思っています。
それでは、早速、10月8日の夜10時から明け方まで、タリーズコーヒー柏モディ店でのタンポポ設営の様子を見ていきましょう。
材質はポリエステルのニット生地。タンポポを柱に取り付けるため、事前にアートラインかしわメンバーが紐を通して準備しています。
タリーズコーヒー客席への設置は、川上さんが携帯電話で細かく場所を指示しながら取り付けていきます。
タリーズさんのご協力のもと、店内にもたくさんのタンポポを飾りつけます。
高所作業車を使って、植栽の柱にタンポポを設置。写真左側には「栢花繚乱」のフラッグがはためいているのが見えます。
テラスからの垂れ下がり具合を指示する川上さんとアートラインかしわメンバー。「オッケーです!」
茎に通す「総苞(そうほう)」の部分を針と糸で縫い合わせていきます。今回展示しているのはニホンタンポポ。西洋タンポポと違って総苞が閉じているのだと、川上さんが教えてくださいました。
「最初の一歩が肝心。対話しているとタンポポが見えてくる瞬間があります」と川上さん。
花を大切に手に携えて、指示しながら作業者に渡していく川上さん。アートラインかしわメンバーも見守ります。
完成!このとき朝の5時。感想をうかがうと、「タンポポに導いてもらった」と一言。
アートラインかしわツアーで
翌週10月13日は毎年恒例のアートラインかしわツアー。同行していただいた川上さんに再びお話をうかがいました。
――設営が終わって数日経ちましたが、どんな気持ちでいらっしゃいますか?
川上氏:ギャラリーでしかタンポポのインスタレーションをおこなったことがなかったので、このような大きな展示をさせていただき、本当に感謝しています。
――改めて本日タンポポの展示をご覧になっていかがですか?
川上氏:ツアーの前に、タリーズさんでコーヒーを飲んだのですが、視界にタンポポが入ってくる幸せを感じました。
――私もタンポポが今まで以上に愛おしく感じるようになりました。ありがとうございました。
川上さんのタンポポは、柏二番街の「The Flolist of KEIHOKU」や「SBI新生銀行」にも展示されているので、あわせてご覧ください!
「テラスから垂れ下がっているタンポポは倒れている様子を表現しています」とツアー参加者に説明する川上さん。
ツアー中、植栽の柱の根元に倒れているタンポポを見つけて、花への思いを語ってくださいました。この愛おしいタンポポの姿もぜひご覧になってください。
現在、タリーズコーヒー柏モディ店では、コーヒー豆を1袋以上購入すると、川上さんが描いたタンポポの絵のステッカーとドリップパック1袋をプレゼント!
すべてが引き立て合うように!
もう一人のメインアーティスト池平徹兵さんのワークショップは10月12日に開催。池平さんにお話をうかがいました。
――池平さんの絵には、たくさんの動物や植物が描かれていますが、そのすべてがインパクトを持っていますよね。
池平氏:朝起きて、その日に一番描きたくなったものを、キャンバスに加えていくんです。こうすることで、全部が主役になるんですよ。
――今回の「栢花共生」の展示とワークショップにはどんな狙いがあるのですか?
池平氏:歌川国芳が描いた「百種接分菊」という浮世絵に、1本の菊に接ぎ木して100種の菊が咲いている様子を描いたものがあるのですが、同じように、ワークショップ参加者一人ひとりの花の絵が調和して、すべてが引き立て合うようにできればと思っています。
――一人ひとりの絵が主役になれるんですね!
では、早速、本気で描く池平さんのワークショップの様子を見ていきましょう。
ワークショップ冒頭であいさつする池平さん。「今日までで一番本気で描いてください。」
ドン・キホーテ横に設置された、色のついていない線画のキャンバスを見学。題材については「今の自分には“ぎりぎり描けなさそう”と感じるものを選ぶのがコツ」と池平さん。
およそ20名の参加者が生花や花の写真を見ながら、本気で描いています。
カメラのシャッター音が鳴っても、誰一人こちらを向かないほど、皆さん集中していました。
色塗りまで完成したら、はさみで切り抜きます。
切り抜いた絵は、池平さんが透明な下敷きに貼っていきます。
下敷きを立てかけて、周囲の景色を“借景”にして鑑賞することもできます。
ドンキ横のキャンバスに作品を貼っていきます。
池平さんを囲んで集合写真。参加したお子さんの一人に感想を聞くと、「めっちゃ楽しい、めっちゃ達成感、毎日やりたい!」と興奮気味に話してくれました。
参加チャンスあります!
ワークショップ後、再び池平さんにお話をうかがいました。
――本日のワークショップはいかがでしたか?
池平氏:想像していた以上に素晴らしいものができたと思います。皆さん、僕が最初に言った“これまでで一番本気”を実行してくれました。
――それはなぜできたのだと思われますか?
池平氏:楽しいだけではなく、自分の表現が展示される、つまり、仕事を任せられているという感覚ではないでしょうか。その責任感があるから、壁を一つ乗り越えることができたのではないかと思います。
――皆さん、充実した表情をされていましたね。来週のワークショップもよろしくお願いいたします。
10月19日(日)午前中には、池平さんのもう一つのワークショップ「新たな森へ」が開催されます。
参加者が、本気で描いた絵を透明なアクリル板に貼り、屋外のさまざまな場所に置いて、日常の風景を“借景”として鑑賞したあとは、「栢花共生」のコラージュ作品として展示されます。
あなたも、本気で池平さんと一緒に制作しませんか?
ご興味のある方は、下記のアートラインかしわのホームページからご予約ください!
たくさんのご参加をお待ちしております!!
池平徹兵「新たな森へ」(ワークショップ)
川上和歌子「Blooming―毎日のように新しい花が咲く―」
- 【展示期間】10月9日(木)〜11月9日(日)
【場所】柏モディ店頭プラザおよび2Fテラス、The Flolist of KEIHOKU、SBI新生銀行 柏フィナンシャルセンター
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この記事を書いたのは…
「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子
柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。