不安と向き合い、自分に戻る——日体大柏高校3年生
2025年7月、日本体育大学柏高等学校・高校3年生特訓クラスにて、進化心理学とAI(ChatGPT)を活用した特別授業が実施されました。
対象は、大学進学を目指す受験生を中心に、Jリーガーを志す生徒、部活動に励む生徒など、多様な進路と価値観を持つ約70名の高校生たちです。
「不安って何?」から始まる対話型授業
本授業のテーマは、「不安の正体を見つめ直し、自分の意思として扱えるようにすること」。
不安を単なるネガティブな感情としてではなく、進化心理学・行動経済学・AIとの関係など、現代的な視点で構造的に捉えることからスタートしました。
第1回目は、「人はなぜ不安を感じるのか?」という座学から始まりました。進化の過程で備わった「予感する脳」、SNSやAIが不安を拡張する構造、マーケティングで使われる“恐怖訴求”など、生徒たちはこれまで触れてこなかった視点に目を見開いていました。
【1日目ワーク】
女性アスリートのキャリアをみんなで考える
初日のワークショップでは、「女性アスリートのキャリア」というテーマを通じて、性別・身体・社会制度・将来設計など、複雑な課題にチームで挑みました。
一人ひとりが意見を出し合い、各グループから選ばれたリーダーが“ファシリテーター”としてメンバーの声を束ねて発表する形式**をとったことで、多様な視点が見事に交錯しました。
- 端的に論点を整理して話す生徒
- 抽象度の高い視点で物事を捉える生徒
- 自分の経験や物語性をもとに語る生徒
そのどれもが、「高校生の可能性はこんなにも多彩なのか」と思わせる力強い発表でした。
【2日目ワーク】
お金と幸せのバランスを考える
2日目は、「お金の価値」や「お金と幸福の関係性」という、一筋縄ではいかない問いに向き合いました。
このテーマに対しても、生徒たちは真剣に意見を交わし合い、それぞれのチームが独自の角度からアプローチ。
リーダーによる発表では、価値観の違いを尊重しながらも、一つの問いに対して多様な立場から考える姿勢が随所に見られました。
正解のない問いに対して、「それでも自分なりに考えてみる」——そのプロセスこそが、社会を生き抜く上で不可欠な素地になるはずです。
生徒たちの成長と多様性の体現
この授業を通じて特筆すべきは、生徒たちが自分の“適材適所”を自然に見出し、チームの中で役割を全うしていた点です。
前に出るのが得意な生徒は場を作り、静かだった生徒が後に深い発言を残すなど、互いに影響し合いながら個の強みを引き出し合っていた様子が印象的でした。
先生方からも「非常に良い時間だった」「想像以上に生徒が引き込まれていた」と好評をいただきました。
最後に:不安を力に変える学びを
この授業の本質は、「不安の否定」ではなく「不安との付き合い方」を学ぶこと。
ChatGPTというAIツールを活用することで、感情を言語化し、構造化し、自分の価値観へとつなげていくプロセスを、実体験として高校生たちは歩みました。
進化心理学の視点で、“なんで不安になるのか”をひもといて、
AI時代に必要な“心の整え方”を一緒に考える内容でした。
目の前の受験だけじゃなく、
その先の人生にも役立つ“内側の軸”を育てる時間になったと信じています。
日本体育大学柏高等学校
- 〒277-0008 千葉県柏市戸張944
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この記事を書いたのは…
おおたかの森ファームスガコウタロウ
東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。