【豊中】「本の持つ力」を一人でも多くの人に伝えたい。子ども文庫「keiおばさんの本の部屋」豊中市の特別表彰受賞

【豊中】「本の持つ力」を一人でも多くの人に伝えたい。子ども文庫「keiおばさんの本の部屋」豊中市の特別表彰受賞

SMILE編集部員Mです。
「子ども文庫」をご存知ですか?公共の図書館以外に、地域の集会所などを開放して本の貸し出しを中心に、お話会や行事などの活動をしている場所。豊中市には「豊中市子ども文庫連絡会(豊子連)」という組織もあり、これまでSMILEでもいろいろな子ども文庫を紹介してきました。
中でもいちばんお世話になっているのは、豊子連の元・代表の天瀬恵子さん。このたび天瀬さんの文庫「keiおばさんの本の部屋」が豊中市教育等特別功労者 特別表彰を受賞されたとのことで、久々にお会いしてきました。

賞状は、今年5月に豊中市教育等特別功労者 特別表彰を受賞されたもの

賞状は、今年5月に豊中市教育等特別功労者 特別表彰を受賞されたもの

コロナ禍に「ここがあってよかった」と言われ、文庫の持つ意味を再確認

「keiおばさんの本の部屋」は、初めて取材にお邪魔した時から大好きになった場所。玄関から足を踏み入れると、そこはまさに本に囲まれた部屋。絵本が大半かと思いきや、大人向けの本や文庫、そして最近はマンガの在庫もどんどん増えてきているよう。
「豊子連は昨年50周年を迎えたので、うちの文庫はまだ15年。そんなに古くもないんです。何より私が本が好きで、もともと持っていた上にどんどん増えて」 と語る天瀬さん。話す間にも、作家さんの名前や本が次々と出てきて紹介してくださり、聞いているうちにあれもこれも読みたくなる…まさに「keiおばさんマジック」!

子育て中のお母さんがほっとできる場にしたいとの思いで始めた文庫。文庫を続けてきた意味を再確認したのは、新型コロナウイルスが広がり、学校も公共図書館も閉まって社会全体が閉塞感に包まれた最初の緊急事態宣言のとき。しばらくは文庫を閉鎖し、せめて、と予約制の玄関先対応で文庫を開き続けたそう。
「学校も市の図書館も閉まってしまい、『ここがあってよかった』と喜んできてくれる人がたくさんいたんです。そして、受け渡しだけ、と思っていたのにいざ利用者さんと向き合うと、玄関先で泣き出す方までおられて…。不安や愚痴をいう場所もない、『話せてよかった』と笑顔になって帰る方がおられたんですよね」
文庫は本をまんなかに人を繋ぐ場所と言われる。「人」はこんなにも大事なんだなあと実感したのだそうです。

世話人さんと一緒に探しやすく並べられた本棚

世話人さんと一緒に探しやすく並べられた本棚

利用者さんの要望でマンガもたくさん増えてきた。子どもに紹介したいマンガが基準

利用者さんの要望でマンガもたくさん増えてきた。子どもに紹介したいマンガが基準

娘が熊本地震で被災。心に傷を抱えた中で見た「本の持つ力」

コロナ禍で借りに来られる方の中には「ここまで本を読む子じゃなかったのに、休校中ひたすら本を読んでいました」と話すお母さんもいたそうです。「皆が心に不安を抱える中で、大人も子どもも、本の中に逃げ場と救いを見出したのだと思う」と天瀬さん。
実は2016年に起こった熊本地震で天瀬さんの娘さんが被災者になり、命を落としかけるという経験をされました。心に大きな傷を負って帰ってきた娘さんは、しばらく無我夢中で本を読んでおられたのだと。

「かける言葉も見つからない傷心の娘に向かって、本の話をすることで親の私も救われた。『ああ、本が読める娘でよかった』と心の底から思ったんです。本を読めるということは『救い』なのかなと思います」
だからこそ、本が誰かの役に立ってほしい、との思いが大きくなったのだと天瀬さんは言います。

SMILE19号でも、おすすめ絵本を紹介していただきました

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定期メール配信「keiおばさんの本の紹介」は、本好きなら心躍る!

コロナ禍で始めたのが、利用者に配信する「文庫案内」。本にまつわる情報をとにかくたくさん発信して、「この本読みたい」「借りにいってみようか」と思えるように。しつこく送っていれば、ふとした時に思い出してくれるかもしれない、と。最近は案内メールを家族で共有して読んで、「主人に」「子供に」と言って借りていかれる人も多いのだとか。
「しんどい時にはクスッと笑える本を読んでリフレッシュしたらいいんですよ。育児中のお母さんたちも不安に押しつぶされる前に『おもしろい本教えて』と言って来てくれたら」
とにかく、天瀬さん自身が大の読書家なので、本の話をするとあれもこれもと出てくる出てくる!そんな読書案内を聞いているだけで癒されるのは、きっと私だけではないはず。大人も子どもも天瀬さんの笑顔に会いにくる場所なのでしょう。 15年経てば、幼い時に来てくれていた子が自分で本を借りに来てくれたり、本の紹介をし合ったりして…。そんな成長を見られるのが何よりの財産。
胸を広げて受け入れてくれる場所があるだけで、子育ては楽にそして楽しくなる。そんな場所を見つける手助けをSMILEもしていけたらなあと思います。
天瀬さん、これからもどうぞ「本の持つ力」を布教していってくださいね。

※「keiおばさんの本の部屋」は、豊中市永楽荘3丁目5−10。
開催は、毎週金曜日10時30分~16時30分(季節により変動)。
電話番号:090-5017-3398
メールアドレス:keiobasan-bunko@docomo.ne.jp
※来られる時は必ず事前連絡を。

メール配信で紹介した本を中心に、玄関先にはおすすめの本がぎっしり

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天瀬さんの今のおすすめの本は、「くみたて(田中達也・作)」と「香君(上橋菜穂子・作)」だそう。読んでみて

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