さまざまな魅力を持つ泉北ですが、町の魅力を生み出すものは、やっぱり人!
前回に引き続き、西紋建匠(さいもんけんたく)株式会社の代表・西恭利さんをご紹介します。後編では、西さんの理想から生まれた共創スペース「ゆっくりばこ」をご紹介します。
構想8年の理想郷
「ゆっくりばこ」は西紋建匠の事務所でありながら、地域の人々がイベントやコワーキングに利用できるスペースです。
ここでヨガ教室やパンづくり教室を開く人もいれば、一人静かに仕事をしに来る人もいます。
すぐ隣では西紋建匠のスタッフさんたちが仕事をしている、という何とも珍しい場所なのです。
このようなスペースをつくる構想は、西さんが独立した2012年から温めていたもの。オフィスでありながら「町に開く、ということがしたかった」と語るその場所は、実験的な場でもあります。
この「町に開く」という考え方について、ホームページには以下のような言葉があります。
「住み開き」という言葉をご存じですか?
住居でありながら、地域に開放したスペースを持つことを言います。
ゆっくりばこは、弊社の事務所であり、解放した開かれた場所です。
お料理教室や、セミナー、コワーキングスペースとしてなど様々な形で活用されている「はたらく家」なのです。
共有することで豊かになる
西さんがこのような考え方に至った背景には、これからの時代の「豊かさ」に対する深い洞察があります。
「欧米化によって住まいが“個室化”し、私たちは“個人”の豊かさを追求してきたけど、それって何だったんだろう?
日本の原風景は、仕切りがありながらも開かれた『田の字型』の家に人が集まり、冠婚葬祭などで時間や空間を共有していました。
そういう文化は、やがて循環すると思います」
この考えは、さらに町の活性化にもつながっていきます。
「個人の所有ではなく、いろいろなものを人と共有している地域というのは豊かだと思うんです。
アナログな場に人が集まって、顔が見える関係があることが“豊か”であり、活性化につながると信じています」
そういえば、ホームページの西さんの生い立ちを紹介するページには、こんなことが書かれています。
実家は和歌山県串本町。昔からある古民家のような家で、いわゆる田の字型プランの大きな家。もう100年も前に建てた家ながら、毎日のように祖母が雑巾でそこらじゅうを掃除していた記憶が。きっちりメンテナンスをしていれば、家ってこんなにきれいに長持ちするんだ、というような家でした。
幼い頃の「家」の記憶が、原体験のひとつになっているのかもしれませんね。
ここって何なんでしょうね?
さまざまな想いが詰め込まれた「ゆっくりばこ」は、今後どのように地域と関わっていくのでしょうか。
西さんいわく「華やかじゃなくていいので、暮らしの中の小さなつながりをつくっていきたい」とのこと。
具体的なプランを聞くと、こう返ってきました。
「何をしたいんでしょうね?
というか、ここって何なんでしょうね?」
え!? そんな無責任な・・・。
しかし、その後の言葉を聞いて納得しました。
「こちらが提供するサービスを利用者が受ける、という関係ではなく、お互いに創り出していく方が面白い。
だから、使う人が決める空間にしたいんです。
その結果、ここで交わった人たちの成長や活力につながるのが理想ですね」
ゆっくりばこ
- [住所] 堺市南区檜尾149-2
[電話番号] 072-247-4318
[営業時間] 9時~16時(予約制)
※来られる際は、必ず事前にお電話でご予約ください。
[料金]
<コワーキング>500円/人
<キッチン使用・教室開催>主催者1000円/日・回
参加者500円/日・回
※1か月内にご利用トータルが4回目以降は、半日2000円、1日2500円、参加者は500円/日・回
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※記事に掲載した内容は公開日時点の情報です。変更される場合がありますので、お出かけ、サービス利用の際はHP等で最新情報の確認をしてください
この記事を書いたのは…
ジモトミンフーキー
泉北でフリーライターをしています。町の小さな会社や、そこで働く人たちのストーリーを紡ぎながら町の魅力を紹介したいと考えています。泉北が「明るい未来に向かって積極的に挑戦する人」であふれる町になればいいなぁ、などと思いつつ。よろしくお願いします。