まちっと北摂編集部のバンハルです。
本格的な夏を前に、女性活躍に力を注ぐ池田市長・瀧澤智子さんとフェムケアラボ“RIELLA”代表の須田結花さんが、人生100年時代の女性の心と体の変化と育児について語り合いました。
その様子をお届けしますね! ※記事中は敬称を略します。
瀧澤市長「不調の原因を科学的に知ることで対処の仕方も変わってきます」
瀧澤 以前本市に講演に来ていただいた時にお聞きしましたが、須田さんがフェムケアや自分の体と向き合うきっかけになったのは、ご自身がいろいろな病気を経験したからなんですよね。
須田 若いころからいわゆる女性ならではの体の不調を経験してきました。
まず生理痛ですね。おなかが痛いから痛み止めの薬を飲んで我慢する。それもあまり効かなくなって、吐いたりして。学校に行けないわけです。
それでも病院-婦人科ですね、そこには行きませんでした。その頃は婦人科なんて生理痛ぐらいで行けるところではない。妊娠したら行くところと思っていました。
瀧澤 生理中は、もちろん個人差がありますが、体がだるかったりおなかや頭が痛くなったりと不調が出る女性は多いですが、特に若い方が婦人科にはなかなか行かないかもしれませんね。
須田 私たちが思春期の頃は特にそうでした。知識もなかったですしね。もちろん“フェムケア”なんて考え方もありませんでした。
そのまま社会人になって、27歳のときに、今度は卵巣嚢腫になったんです。
医師から卵巣の摘出を進められました。でもまだ子どももいませんでしたからどうしても嫌で、必死で妊活し、なんとか子どもができた後に卵巣を取りました。
そのとき、「産まない」ことと「産めない」ことは違う!って強く感じたんです。
そして34歳のとき、胸のしこりを見つけて。検査したら10分後に「乳がんです」って。もう頭が真っ白でどれだけ落ち込んだことか…。
私の場合は、抗がん剤、放射線治療、ホルモン治療がセットになっていました。もちろん髪の毛も抜けました。
ですが仕事(美容院の経営)もあり、子育てもあり、悩んでいる暇はないって。そこからの生き方のシフトチェンジはうまかったと思います。
ただ1つ、そのときに知識があれば、卵子凍結をしたのになあということ。
そういう技術があることを知らなかったので、そこは後悔しています。
瀧澤 知っていること、知識があることは本当に大切です。早くに自身の体の仕組みを知り、不調の原因を科学的に知ることができれば、対処の仕方も変わってきますから。
池田市としても、そういう機会をたくさん作っていきたいと、セミナーやイベントを実施しています。さらに、先ほどおっしゃった卵子凍結についても、池田市独自で助成事業を行っています。
☞ https://www.city.ikeda.osaka.jp/soshiki/kodomo/k-mirai/18196.html
また、大阪府では、がん患者の方を対象にした卵子凍結助成事業を実施しています。
須田さん「フェムケアは女性特有の健康問題のアプローチに役立ちます」
瀧澤 ライフステージに応じて生じる女性特有の健康課題をフェムケアやフェムテックを使って解決できるのではないでしょうか。
須田 解決できますし、そうすべきだと感じます。例えば、月経の流れで肌の調子やダイエットに適したタイミングがわかったりもしますから、妊娠するしないに関わらず普段の生活から基礎体温を付けておくべきと思います。
自分を知ることで行動も前向きになっていきます。次にどんなことが自分の身体に起こり、心に影響を及ぼすのか。それを予測できれば体の変調はそれほど怖いものでもなくなります。
そうすると生き生きし、前向きになり、それがきれいにつながると思います。
実は私、50歳で遺伝子乳がんになり、胸を全摘し、再建手術もしています。医師に「50歳ですがどうしますか?」と聞かれて、「もちろんします! 実物より少し大きくしてくださいって(笑)」。
病気のせいで損したくないって。そういう性格だから良かったのかもしれません。
瀧澤 まずは自身の体を知ることなんですね。そういう啓蒙活動を市としても進めていかなくてはいけないと思います。
体調の浮き沈みを気合と根性で乗り越えるのではなく、正しく知るということ。そうして得た知識をできれば周りにも伝えていくことですね。
瀧澤市長・須田さん「男女がお互いの身体の仕組みを理解することは社会の健全化につながります」
須田 男女を問わずお互いの身体の仕組みを正しく理解することは、健全な社会を作っていくと思うんです。
瀧澤 そうですね、おそらくお互いのことってきっとよくわかっていませんよね。学ぶ機会も少ないし、もしかしたら学ぼうともしていないのかもしれません。
現代においても、性別での役割分担意識が根付いている部分はあると感じます。
本来は、働くこと、子育て、家事に関しても、できる人がやればいいはずなのですが。
市としても職員のジェンダー教育などに取り組み、実際に若手男性職員の育休取得率が上がっています。こういったことが社会全体に広がっていくことで、いい社会になると私も信じています。
ワンオペ育児が社会問題になっていますが、とにかく一人で悩まないでと言いたいです。出産・子育てに関する市のサポートを頼ってほしいですし、ファミリーサポートセンターもありますから。
須田 今30代~40代の方が小さかったときは、お母さんの多くは専業主婦だったと思います。お母さんの1日のスケジュールを見て育ってきていますから、自分の親のようにしてあげたいと思っている人が多いんです。でも現代女性は仕事をしながら育児をしている人が多いわけで、同じようにはできるはずがありません。
愛情さえあれば、「ほどほどでいいんだよ」ということを言ってあげることで、気持ちが楽になるみたいです。
瀧澤 自分の親がしてくれたことを、わが子にはしてあげられないもどかしさですね。ですが自分は働きたいと。私も同じ思いに悩んだことがあり、“時間よりも密度”と思って接したりしてきました。
須田 お子さんに聞いてみたことあります?働いていることをどう感じているか。
瀧澤 あります!「ママが働いているのどう思う?辞めてほしい?働いてほしい?」って。すると「働いてほしい」と。あ、そうなのかって。
ときには子どもの意見を聞いてみて、自身を振り返るきっかけにしてもいいのかもしれませんね。
須田 これからの社会は共働きが多くなってきますから、そこは変わってくると思います。働いている背中を見せることですね。それが大事なことだと思います。
■池田市長・瀧澤智子さん
1981年6月生まれ。甲南女子大学文学部卒業後、証券会社勤務。池田市議会議員秘書、池田市議会議員を経て、2021年から現職。
■フェムケアラボ“RIELLA”代表の須田結花さん
美容室スペースワンHIKARIオーナー。一児の母。乳がん、遺伝子乳がん、卵巣嚢腫など女性特有の病気を克服したその経験を活かし、フェムケアラボRIELLAを立ち上げる。
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この記事を書いたのは…
まちっと北摂編集部バンハル
大阪・北摂(豊中・吹田・池田・箕面・茨木・高槻)で地域密着の生活情報紙「リビング新聞」を発行する株式会社サンケイリビング新聞社が展開する地域情報プラットフォーム「まちっと北摂」の編集部、バンハルです。 夫と息子+琉球MIX犬(女の子)と暮らしています。以前千里中央に事務所があったときは、お昼休み、コラボの図書館に通いづめてました。おすすめは大阪モノレールから見下ろす街並み。特に秋は紅葉が素晴らしい! アイコンの画像はバンハル3歳のときのものです。