「団地」と聞くと、皆さんはどんなイメージがありますか。
古い、狭い、汚い、住みづらい・・・?
泉北ニュータウンにはたくさんの団地があり、多くの方が暮らしています。泉北ニュータウン内の全住戸数のうち、約半分が公的賃貸住宅です。私も泉北ニュータウンに移り住んで以来8年間、団地で暮らしています。
今回は、実際に住んで感じる、団地の魅力についてご紹介します。
どこか懐かしくも機能的なつくり
「団地」(本来は土地のことを指すが(例:「工業団地」等)、日本では多くの場合「住宅団地」の事を指すため、以下「団地」で統一)は、日本では戦前から都市部を中心に一部見られたものの、多くは高度経済成長期に大都市の住宅不足を解消するため、郊外のニュータウンに多く建設されました。
その間取りは、部屋が田の字につながった「田の字型プラン」が中心で、当時の長屋では同じ部屋で行われた食事をする場所と寝る場所を分離した「寝食分離」のプランとして、当時は憧れの的でもありました。
私が泉北ニュータウンに移り住んで以来8年間住んだ団地(現在は別の団地に引っ越し)は、建物ができて約50年と泉北ニュータウンでは初期の団地で、箱型の建物がたくさん並んだ「ザ・団地」な建物ながら、実家の木造住宅よりは冬は暖かく、夏は涼しい、快適な住まいでした。
(唯一不満だったのは、湿気と角部屋のため温度差でカビが発生してしまうところ。新たな住まいを検討している方もいるかもしれませんので、正直に住民の声を書いておきます)
自然に囲まれて暮らす
泉北ニュータウンの団地の特徴は、ただでさえニュータウン内に多い緑がさらに多い、ということです。
私が住んでいた団地は、まさに森の中。鳥の種類はほとんど知らない私ですが、さすがに聞き分けられるウグイスが鳴き始めると、春を感じました。ウグイスは最初は下手な鳴き方をするのですが、それが日に日に上手になっていくのが面白かったです。
旅行先の森の中のホテルの売り文句が「朝は小鳥のさえずりを楽しむことができます」とありましたが、「なんや、自分の家と一緒やな」と感じました。あえて遠くへ行かなくとも、泉北で自然の豊かさや季節の変化を感じることができます。
(ただし、真夏は蝉の大合唱になります。ここも住民として正直に書いておきます)
窓から見える絶景
泉北ニュータウンは起伏が激しく、駅やお店までの道のりで苦労することもありますが、場所によっては眺望が楽しめます。
私が住んでいた団地も、窓の外を見れば、春は桜並木が視界いっぱいに広がり、夏は緑の和泉山脈(岩湧山)と入道雲が浮かぶ青空、秋は紅葉、冬は雪がかかった和泉山脈が楽しめるという、季節ごとに様々な楽しみがあるお部屋でした。
首都圏では、人工的に植えた桜が窓から見える部屋で1億円を超えるマンションもあるという、ちょっと信じられないことが起きているそうですが、私の家の家賃は約5万円でした。この部屋から見る桜並木は本当に絶景で、敢えて値段をつけるとすれば、1億円以上の価値があると思います。
「集まって暮らす」ことの意味
「一人で住んでも、独りじゃない」
NHKの番組『ドキュメント72時間』で2024年7月26日放送の「マンモス団地を歩いてみれば」では、千葉市の7000世帯が暮らす団地が紹介されていました。その時、「団地で住む」とはどういうことかを表現されていたのが、上記の言葉。まさに団地暮らしを表現するのにぴったりな言葉です。
あなたは今日、お隣さんと挨拶をしましたか。
1週間に何回くらい、ご近所の方と挨拶をしますか。
団地では、階段を上り下りする際に嫌でも他の人の家の前を通り、しばしば顔を合わせます。
しかし、それぞれの家に入れば、きちんとプライベートは確保されています。
プライベートは確保されつつ、ほどよい距離感をもって他人とつながる。同じ階段の方とはすれ違えば必ずご挨拶をし、たまたましばらく会わない時期があると「病気してたんかと心配してたわ」と言われる。子どもからお年寄りまで、とても仲がいい団地でした。
ある研究によると、団地住民は、毎日の階段の上り下りで適度な運動をし、近所づきあいもあるため、マンションや一戸建ての住民よりも健康寿命が長いそうです。
私ごとながら、今春に家族が増えて少し手狭になったので、写真とは違う泉北ニュータウン内の団地に引っ越しました。
泉北ニュータウンにあるだけでも、自分のライフスタイルに応じて様々な住居プランが選択できます。
建物は古く見えるようでも、一周回って最先端の暮らし方がここにはあります。
これからも「団地ライフ」を楽しんでいきたいと思います。
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※記事に掲載した内容は公開日時点の情報です。変更される場合がありますので、お出かけ、サービス利用の際はHP等で最新情報の確認をしてください
この記事を書いたのは…
おおはす図書部 緑道ピクニック三井 孝則
泉北ニュータウンの緑豊かな環境に魅力を感じ、結婚を機に泉北に移住。築50年以上の団地暮らし。大蓮公園の「Design Ohasu Days」館内の私設図書館「おおはす図書部」や、不定期企画「緑道ピクニック」を行っています。