こんにちは!
生まれも育ちも流山、スペシャリストのスガコウタロウです。
今回は、柏市立柏第七小学校のビオトープを巡る素敵なコラムを紹介します!
「でんでん村」を未来へ残すため「どうすれば皆が好きになるか」を考え、ワクワクするアイデアを出す5年生。
その熱意に専門家や地域の大人が本気で応え、一体となって挑む、優しくも熱い協働のお話です。

柏市立柏第七小学校の一角に、「でんでん村」と呼ばれる場所があります。
でんでん村は、学校の端にあるビオトープです。ビオトープとは、校内の小さな自然スペースで、鑑賞するだけでなく、生き物と触れ合い生態系を学ぶ「青空教室」のようなスペースのことです。
動植物が自然に生息できる空間としてつくられ、これまで子どもたちの学びの場として大切にされてきました。

学校のホームページを見ると、でんでん村には「HP発信課」「生態課」「緑地課」などの活動があり、子どもたち自身がでんでん村を守ったり、広めたりしていることがわかります。
つまり、でんでん村は単なる池や自然観察の場所ではありません。
子どもたちが関わり、調べ、発信し、次の学年へ引き継いできた、学校の中の小さな文化のような場所です。
そのでんでん村を、これからどう未来へ残していくのか。
今回、5年生全5クラスを対象に、「でんでん村を未来へ残していくために何ができるか」という意見交換を行いました。

最初に見えてきたのは、多くの子どもたちが「でんでん村を残したい」と考えていることでした。
「生き物を守りたい」
「先輩たちが作ったものを残したい」
「なくなってしまうのは嫌だ」
そんな声が多く聞かれました。
一方で、子どもたちは決してきれいごとだけを話していたわけではありません。
虫が苦手な子もいます。
暑い場所や泥のある場所が苦手な子もいます。
正直に言えば、「自分にはあまり関係ない」と感じている子もいました。

しかし、そこがこの授業の面白いところでした。
子どもたちは、「自分が好きかどうか」だけで考えるのではなく、少しずつ視点を広げていきました。
「下級生は、そもそもでんでん村を知っているのだろうか」
「知らなければ、好きになりようがない」
「好きにならなければ、守りたいとは思わない」
そうして、議論の中心は「どう自然を守るか」だけではなく、「どうしたら、みんながでんでん村を好きになるか」へと変わっていきました。

子どもたちからは、たくさんのアイデアが出ました。
ゆるキャラを作る。
校内放送で紹介する。
オリジナルソングを流す。
動画を作る。
Scratchでゲームを作る。
探検ツアーを開く。
スタンプラリーを企画する。
一見すると、遊びのように見えるアイデアもあります。

しかし、その根底には、子どもたちなりのしっかりした考えがありました。
「知らない」
「興味を持つ」
「行ってみる」
「好きになる」
「愛着を持つ」
「関わりたくなる」
「守りたくなる」
この流れを、子どもたちは自然に考えていました。
自然保護は大切です。
けれど、自然保護の正しさだけでは、人はなかなか動きません。

まず知ってもらうこと。
気になってもらうこと。
行ってみたいと思ってもらうこと。
そして、少しずつ「自分たちの場所だ」と感じてもらうこと。
子どもたちは、でんでん村を守るために、まず人の心の動きを考えていたのです。
そして先日、この子どもたちの提案をもとに、5年生の担任の先生方、教頭先生、自然保護の専門家、地域関係者が集まり、協議を行いました。

この会議で印象的だったのは、誰か一人が正解を出す場ではなかったことです。
学校には、子どもたちの主体性を育てたいという思いがあります。
自然保護の専門家には、生態系や水質、植生を守るための知見があります。
地域には、学校だけでは担いきれない部分を支え、長く伴走していきたいという思いがあります。
それぞれ立場は違います。
見えているものも違います。
けれど、会議の中心にあったのは、最後まで子どもたちの問いでした。
「どうしたら、もっと多くの人がでんでん村を好きになるだろう?」
大人たちは、その問いを簡単に否定しませんでした。

一方で、何でも自由にやってよいという話にもなりませんでした。
ここは守らなければならない。
ここは工夫できる。
ここは子どもたちに任せられる。
ここは大人の手が必要になる。
専門家、先生、地域の人たちが、それぞれの視点から丁寧に線を引いていきました。
それは、子どもの自由を制限するためではありません。
子どもたちのアイデアを、実際に続いていく活動へ育てるための話し合いでした。
教育というと、先生が子どもに何かを教える場面を想像しがちです。
しかし今回のでんでん村再生プロジェクトでは、子どもたちの問いが、大人たちを動かしていました。
子どもたちが考えたことを、学校が受け止める。
専門家が支える。
地域がつなぐ。
その協働の中で、でんでん村の未来が少しずつ形になろうとしています。

でんでん村を再生するということは、単に草を刈り、水を整え、生き物を増やすことだけではありません。
「この場所を好きになってほしい」
「自分たちだけのものにしたくない」
「次の学年にもつなぎたい」
そんな子どもたちの思いを、学校と地域が一緒に未来へ運んでいくことでもあります。
でんでん村は、自然を学ぶ場所です。
同時に、人が何かを大切に思うまでの道のりを学ぶ場所でもあります。
今回の5年生たちは、でんでん村を通して、自然の守り方だけでなく、人の心の動かし方を考えていました。
そして大人たちは、その問いを本気で受け止めました。
この小さなビオトープから、学校と地域が一緒に子どもの学びを育てていく、新しい一歩が始まっています。



柏市立柏第七小学校
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この記事を書いたのは…

おおたかの森ファームスガコウタロウ
東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。









