吹田市・江坂に本社がある「ミッション」。ご当地カレーや有名飲食店とタイアップしたレトルトカレーの企画開発を行うほか、自社オリジナルのカレーも販売しています。なぜ、レトルトカレーの専門の会社になったのか? 代表取締役の春日英樹さんに聞きました。
<Profile>春日英樹さん ミッション 代表取締役。1970年生まれ、宝塚市出身。1999年に焼肉店「牛角」などを運営するプライム・リンク(現アスラポート)に入社、2006年から事業開発部部長として飲食店約200店舗の出店やフランチャイズブランドの本部構築などに携わる。退職後、2012年にミッションを設立し、2015年からレトルトカレー事業をスタート。現在、約50種類の商品開発を行う。
─ ミッションでは、レトルトカレーの企画開発に特化した会社ですが、創業時からレトルトカレーの会社だったのでしょうか?
ミッションを創業する前は、飲食業界に勤めていましたが、40歳くらいまでに自分で何かをしたい、挑戦したいという気持ちがあり、独立しました。
創業時の仕事は、飲食店のコンサルティング。カレーをメニュー化したいというレストランのお手伝いをする中で、業務用の調理食品を手がけるベル食品(大阪市)と知り合いました。
その時に聞いたのが、有名な串かつ屋さんにカレーを提案したら、とても気に入ってもらえたという話。”カレーってみんな好きなんだなぁ。自分がつくるなら焼肉屋さんのカレーがいいな”と、思ったんです。私は焼肉では但馬屋さんが好きだったので、飲食店のカレーを手がけるなら但馬屋さんで挑戦したいと、担当者を紹介していただいたのが4、5年前のことです。
▲これまでに手掛けた商品のほんの一部。最初に企画した但馬屋カレーは、最上段の左側
─ ミッションのカレーにビッグネームの飲食店が多いのは、スタートも影響してるんですね。
ちょうどお店でカレーを出していたほか、但馬屋社内でもレトルトをしたいという話が出ていたようで、タイミングも良かったんです。実際に商品を形にするベル食品とも、但馬屋カレーの開発をする中で、いい関係を築くことができ、次のタイアップに繋がりました。
レトルトカレーは単価が高くないので、たくさんの方に食べていただけるし、海外にもお届けできます。多くの人に”このカレー、おいしかったね”と思ってもらいたい。そんな気持ちがどんどん強くなり、レトルトカレー専門会社になりました。
◆◆ 富士山や沖縄・宮古島のご当地”映えカレー”も
─ 飲食店だけでなく、ご当地カレーの開発も多く手掛けています。
今、ご当地カレーはとても人気があります。地域の特産品を使った町おこしや、”大学カレー”、ご当地PRなど、カレーがコミュニケーションツールになってます。いろいろな切り口や考え方ができるのが、カレーの面白く、すごいところだと思います。
当社でも、別府大学(大分県)食物栄養学科の学生が、地元産のもち麦を使ったカレーの開発するのに相談を受けました。カレーを通じて、これまで想像しなかった業界の方と、お付き合いできるのはうれしいですね。
─ 先ほど”海外にも”という話がありましたが、海外展開はいかがでしょうか。
今年から、日本の商社を通じて香港と台湾に、「但馬屋 黒毛和牛ビーフカレー」と「富士山カレー」を出荷しています。海外では富士山は人気ですから。
─ 「富士山カレー」は、ごはんを山の形に盛り付けて、青いカレーをかける商品ですね。最近、カレーも”映え”が注目されています。
▲「青い富士山カレー」のほか、「赤い富士山カレー」も(写真はミッション提供)
青いカレーは、周囲から”気持ち悪い”と言われていますが(苦笑)、当社では牛乳を使った白いカレーも開発しており、これが青いカレーのベースです。
富士山カレーは、山梨の企画会社から”みんなが知っている富士山がモチーフの商品を作りたい”という話から誕生しました。販売後はSNSでの反響がすごかった。さらに、富士山カレーを見た広告代理店から、宮古島のカレーが作りたいという話があり、実現しました。青いカレーを海に見立てた商品ですが、こちらには宮古島産のマンゴーのピューレを使い、ご当地カレーに仕上げています。
◆◆ オリジナルで健康ジャンルのカレーを
─ 今では、ミッションもオリジナルカレーを企画し、売り場に並びます。特集で紹介した「脂質0なのに旨みたっぷりなノンオイル野菜カレー/きのこカレー」は、どのような経緯で誕生したのでしょうか。
スーパーのバイヤーさんとの会話がきっかけです。ノンオイルのカテゴリーは、ドレッシングやマヨネーズなど調味料は多いのに、なぜカレーはないのかという話から、開発にいたりました。ノンオイルで動物性原料も使わずに、コクを出すことに苦労しましたが、他にない商品なので、スーパーのほかドラッグストアにも置いていただいています。
─ ノンオイルの次は、どんなオリジナルカレーを?
だし系の減塩ビーフカレーを開発中です。ビーフカレーは、カレーで一番よく売れる人気商品です。塩分が気になる人にも食べていただけるよう、商品づくりを進めています。商品を形にするベル食品もノリノリ。こんなムチャなことを言うのは当社くらいのようで、開発者の腕が鳴るのかもしれません(笑)
◆◆ 北摂で認められたら全国で勝負できる
─ なぜ、江坂で創業されたのでしょうか。
もともと江坂に住んでいたんです。ミッションは自宅開業でスタートし、その後、オフィスも江坂になりました。
江坂なら梅田まで御堂筋線1本で出られて、ほどよく都会。江坂は大阪市内から、少し距離があるのがいいですね。市内の動きを気にせずに、好きなことができる良さがある。また、知見がある北摂の人にご支持いただけた商品なら、全国で勝負できる気がします。
─ レトルトカレーを事業にする中で、春日さんにとってのしあわせとは?
誰かの役に立つこと、会社でいうなら「ミッションのカレー、おいしかったよ」と言っていただけること。年に数回、お客さまから会社に電話がかかってくるんです。「あのカレーがおいしかったけれど、どこで買えるのか」って。そんな言葉に、私もやる気が出ます。
日清食品のチキンラーメン、永谷園のお茶漬け、そして大塚食品のカレーは、世紀の発明といわれています。この一翼といったら大げさですが、先人が築いた技術を踏襲し、関わらせてもらっているのは、しあわせなことだと思います。
〈ミッション〉吹田市江の木町13-9-303 TEL 06-4860-6550
https://www.mission-int.jp/
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