【野田市】東京理科大学で第2回「人生インターンシップ」を開催

【野田市】東京理科大学で第2回「人生インターンシップ」を開催

こんにちは!
生まれも育ちも流山、スペシャリストのスガコウタロウです。

今回は、東京理科大学でこのほど、第2回「人生インターンシップ」が開催した時のお話の紹介をします。
第1回目の「人生インターンシップ」は記事はこちら

この企画は、東京理科大学一般社団法人ソフトウェア協会インターンシップ研究会との共催で行われたもので、学生と社会人が同じテーブルを囲み、食事をしながら仕事や進路、人生について本音で語り合う交流会です。

社会人と学生が、対等に向き合うために

一般的な企業説明会や就職セミナーとは異なり、社会人が学生に答えを教えるのではなく、対話の中から、それぞれが自分自身の考えに気づいていくことを目的としています。

会の冒頭では、社会人に対して一つのお願いをしました。

「今日は学生が主役です。社会人は、なるべく話し過ぎないでください」

人生経験が長い社会人は、学生の悩みを聞くと、つい「こうした方がいい」「自分の頃はこうだった」と伝えたくなるものです。

しかし、この場で大切にしたかったのは、学生がまだ整理できていない考えや不安を、安心して口にできることでした。

完成された質問でなくてもいい。
何を聞きたいのか、自分でもはっきり分かっていなくてもいい。

まずは、今感じていることを言葉にしてみる。その言葉を学生や社会人が受け取り、問い返したり、自分の経験を重ねたりしながら、対話を広げていく。

そんな空気づくりを意識しました。

自信と迷いのあいだで揺れる、学生たちの声

自信のある言葉も、不安をさらけ出す言葉も参加した学生たちの言葉は、実にさまざまでした。

大学での研究に加え、すでに事業やアプリ開発などに挑戦し、自分が取り組んでいることを堂々と語る学生もいました。

一方で、

「就職活動を始めて、視野が狭くなっている気がします」
「研究は好きだけれど、それを仕事にできるのか分かりません」
「周囲から勧められる進路に進むだけでは、少しもったいない気がしています」

と、自信のなさや迷いをそのまま話してくれる学生もいました。

さらに、大学での学びと社会に出てから求められる力の違いについて、次のような質問も出ました。

「大学では、課題にAIを使ってはいけないと言われることがあります。でも、就職したらAIを使いこなす力を求められるとも聞きます。今はAIを使えるようになるべきなのか、それとも自分で文章を考える力を身につけるべきなのか、分かりません」

質問として明確なものもあれば、本人の中でもまだ輪郭が定まっていないものもありました。

しかし、むしろその曖昧さにこそ、この場の価値があったように思いました。

すでにきれいに整理された質問には、大人も整理された答えを返しやすい。
けれど、まだ言葉になり切っていない不安を差し出されると、大人も簡単には答えられない。
自分の経験を振り返りながら、何を伝えるべきなのかを、その場で考えなければならなくなる。

その迷いを含んだやり取りが、とても生々しく、同時に誠実でもありました。

情報があふれる時代だからこそ、迷いは深くなる

今の学生は、情報不足で悩んでいるわけではない、今回、学生たちと話していて強く感じたことは、今の学生は、昔の学生よりもはるかに多くの情報を持っているということです。

AI、SNS、動画、就活サイト、口コミ、自己分析ツール。

少し調べれば、業界研究も企業研究もできる。
自分の強みや弱みを言語化する方法も知っている。
向いている仕事、向いていない仕事、成長できる環境、働き方の選択肢も、かなり早い段階から把握している。

そのため、普通の大人が話を聞けば、

「この学生は、もう十分に自分のことを分かっているのではないか」

と思うところまで考えてます。

しかし、彼らはそこで止まってはいませんでした。

自己分析が進み、情報が集まり、選択肢が見えるようになったからこそ、さらに深いところで迷っていました。

「自分の強みは分かっている。でも、本当にそれを仕事にしたいのか」
「この業界の特徴は分かっている。でも、自分はそこに人生を預けたいのか」
「AIを使う必要性は分かっている。でも、自分で考える力との境界をどうすればいいのか」

ここまで来ると、簡単な就職アドバイスでは答えられませんでした。

企業を何社見ればよいか、自己分析をどう進めればよいかという段階ではないのです。

大人でも答えるのが難しい領域まで、学生の悩みは進んでいました。

これは、学生が未熟だから迷っているのではありません。

むしろ、考えるための材料が増え、自己理解が進んだからこそ、正解のない問いに早くたどり着いているのだと思いました。

頭が良くなるほど「人生の答え」は見えにくくなる

頭が良くなっても、人は悩み続ける。

情報が増えれば、悩みは減る。

知識が増えれば、正しい選択ができる。

私たちは、どこかでそう考えているのかもしれません。

しかし、実際には逆でもあります。

知識が増えるほど、「こちらも正しいし、あちらも正しい」と分かってきます。

安定した会社に入ることにも意味がある。
好きなことを仕事にすることにも意味がある。
専門を深める道もあれば、広い分野に挑戦する道もある。
AIを使うことも必要だが、自分で考える力も必要である。

一つの正解しか知らなければ、選ぶことは難しくありません。

しかし、複数の正解が見えてしまうと、最後に残るのは、

「自分は、どの人生を選びたいのか」

という問いになります。

この問いは、情報だけでは解けません。

AIは、多くの選択肢を示してくれる。メリットとデメリットを整理し、自分に合いそうな仕事を提案してくれます。

しかし、「あなたは、どの人生を引き受けたいですか」という問いに、最終的な答えを出すことはできません。

人は頭が良くなれば悩まなくなるのではありません。

頭が良くなるほど、悩みの解像度が上がる。
悩みがなくなるのではなく、より本質的な悩みに早くたどり着く。

今回、学生たちが見せてくれたのは、まさにその姿でした。

その悩みは、どんな過去から生まれてきたのだろう

話しているうちに、その人の過去が見えてきました。

印象的だったのは、学生たちが「今、何に悩んでいるか」だけでなく、話を続けるうちに、その考えに至った過去まで語ってくれたこと…

なぜその研究を選んだのか。
なぜ今の大学や学科に進んだのか。
以前は何を目指していたのか。
どのような失敗や進路変更を経験したのか。

ある学生は、けがをした際の傷の治り方に関心を持ったことから、人工皮膚に近いものを作れないかと考えるようになったと話していました。

また、建築を学びたいと思っていたものの、受験では希望通りにいかず、現在は電気系の分野で半導体の研究をしていると打ち明けた学生もいました。

現在の所属や研究テーマだけを見れば、なぜそこにいるのかは分かりません。

しかし、本人の過去を聞くことで、その選択が計画通りに進んだ結果だけではなく、失敗や偶然を引き受けながら歩いてきた結果であることが分かります。

学生の現在の言葉だけを聞いていると、大人の側には、「なぜ、そんなふうに考えるのだろう」と理解しにくいことがあります。

けれど、その人がこれまでどのような経験をし、何に憧れ、何を諦め、どのような偶然によって現在の場所にたどり着いたのかを聞くと、

「だから、この学生はこう考えるのか」と、初めて腑に落ちます。

学生たちは、自分の答えを話していたのではなく
その答えが生まれるまでの背景を、私たちに見せてくれていたのだと思います。
そこまで話してくれたことが、大人として本当にありがたかったです。

大人が渡せるのは、正解ではなく「ひとつの経験」

大人の役割は、正解を教えることではありません。

学生の悩みがここまで深いところに来ているのであれば、大人の役割も変わらなければならないのです。

昔のように、

「この業界が伸びる」
「この会社に入れば安心だ」
「若いうちは苦労した方がいい」

と、正解らしいものを教えるだけでは足りません。

そもそも、大人の側にも正解は分からない。
学生の問いが高度になればなるほど、一般論だけで答えることは難しくなる。

だから、大人ができることは、自分の人生を一つの事例として差し出すことなのだと思う。

「私は、こういう理由でこの仕事を選んだ」

「私は、このとき判断を誤った」

「今振り返ると、本当はこの価値観を大切にしていた」

それは、学生に正解を与えることではありません。

学生が自分の人生を考えるための材料を渡すことなのです。

情報はAIから得られる時代です。

業界の将来性も、企業の評判も、働き方の特徴も調べられます。

だからこそ、人間である大人に求められるのは、情報ではなく、経験に体温を与えて語ることなのかもしれません。

語るうちに、大人自身も自分を見つめ直していた

大人も、自分の人生を語り直していました。

一方で、学んでいたのは学生だけではなかったのです。

学生から投げかけられる質問に対し、社会人たちは、自分の経験を一生懸命に言葉にしていきました。

なぜ、自分はその仕事を選んだのか。
何を大切にして働いてきたのか。
転職や独立を決めたとき、何に悩んでいたのか。
やりたいことを続けるために、何をしてきたのか。

学生に伝えるために話しているはずが、言葉にするうちに、社会人自身の中でも経験の意味が整理されていったのです。

そんな場面が何度もありました。

例えば、「好きなことを仕事にする」という話題では、単に好きなことを続ければよいという話にはなりませんでした。

やりたいことを続けるためには、その活動を応援してくれる人や、資金を出してくれる人に、

「この人に任せてみよう」

と思ってもらわなければならないのです。

好きなことを仕事にするとは、好きなことだけをやることではありません。

自分のやりたいことを社会の中に置き、誰かに価値を感じてもらい、信頼を得ながら続けられる形にしていくことでもあるのです。

そう話しながら、社会人の側も、自分がなぜ今まで仕事を続けてこられたのかを振り返っていたように見えました。

学生のために差し出した言葉が、結果として、自分の人生を理解し直す言葉にもなっていったのです。

少し熱が入ってしまうのも、あたたかな対話の形

熱が入り過ぎることも含めて、対話でした。

学生の質問に対して、社会人の話に少し熱が入り過ぎる場面もありました。

大人には、自分の経験を伝えたい気持ちがある。
学生の役に立ちたい。
悩んでいるのであれば、少しでも背中を押したい。

その思いが強くなるほど、つい言葉数も増えていきました。

冒頭で「話し過ぎないでください」とお願いしていたものの、実際には簡単ではありませんでした。

しかし、その不器用さも含めて、この日の対話だったのだと思います。

社会人は、学生の人生を決めつけていたわけではありません。

「こうするべきだ」と正解を押しつけるのではなく、

「私はこういう経験をした」
「自分には、このように見える」
「ただ、あなたの場合は違うかもしれない」

という、一人分の視点を差し出していました。

学生は、そのすべてを受け入れる必要はないのです。

さまざまな社会人の経験を聞き、自分に合うものだけを持ち帰ればいい。違うと感じるものがあれば、違うと思ってもいい。

複数の人生が並べられ、その中から自分の位置を考えていく。

そのような対等な関係が、この場には少しずつ生まれていきました。

「教える」「教えられる」の境界線が消えていく

気づきを与える側と、与えられる側を分けない。

「人生インターンシップ」という名称からは、人生経験のある社会人が学生に何かを教える企画のように見えるかもしれません。

しかし、第2回を終えて感じたのは、この場には、教える側と教えられる側という明確な境界はなかったということだったのです。

学生は、自分の考えを言葉にすることで、自分自身を理解していく。
社会人は、学生の問いに答えようとすることで、自分の人生を振り返り、自分の経験を表現する力を磨いていく。

学生が不安をさらけ出したからこそ、大人もきれいにまとめた成功談ではなく、失敗や迷いを含んだ自分の過去を話すことができ、
大人が本気で伝えようとしたからこそ、学生も表面的な質問だけではなく、自分の考えが生まれた背景まで話してくれたのです。

互いが、相手のために言葉を差し出す。
そして、その言葉によって、自分自身も整っていく。

私が会場を見ていた限りでは、学生と社会人の学びの量は、ほとんど同じだったのではないかと思います。

時間が過ぎても、話したいことが尽きない時間

会が終わった後も、対話は続き、多くの学生がすぐには帰りませんでした。

社会人のそばに残り、会の中では聞き切れなかったことを尋ねる学生、学生同士で話を続ける姿もありました。

運営上の時間が終わっても、対話そのものは終わりません。

それは、主催者として何よりうれしい光景でした。

本当に意味のある対話は、終了時刻が来たからといって、すぐに切れるものではありません。

誰かの話を聞いて、自分の中に新しい質問が生まれ、自分と似た迷いを抱えている人がいると分かり、もう少し話してみたくなる。終了後の談笑は、この場が単なるイベントではなく、人と人との関係が生まれる時間になったことを示していたように思うのです。

互いの人生を重ね合わせながら、一歩ずつ未来へ

第1回に続き、第2回も無事に終えることができました。

学生が安心して、まだ整理されていない言葉を口にできること。
社会人もまた、自分自身の人生を語り直し、表現を磨くことができること。
そして、立場や世代を超えて、互いの人生を材料に学び合えること。

今回、その価値をあらためて実感しました。

AIによって情報が増えても、人間の悩みはなくならない。
むしろ、情報が増えるほど、人はより早く、正解のない問いにたどり着く。
だからこそ、これから必要なのは、正しい答えを教える場ではないのです。

それぞれの人生を持ち寄り、他者の経験を通じて、自分が何を選びたいのかを考える場。

人生を教えるのではありません。

互いの人生を持ち寄り、互いの言葉によって、自分のことを少し深く知っていく場。

この場は、これからも続けるべきだと思います。

次は、第3回へ。

東京理科大学と一般社団法人ソフトウェア協会インターンシップ研究会とともに、学生と社会人が対等に語り合える時間を、さらに育てていきたいです。

東京理科大学 野田キャンパス

一般社団法人ソフトウェア協会

第1回目「人生インターンシップ」

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おおたかの森ファームスガコウタロウ

東京工業大学工学部を卒業後、工業デザイン事務所にてデザイン業務を経て、家業である税理士事務所に入社。そのノウハウを生かし経営コンサルティング おおたかの森ファーム株式会社 を設立。ボクシング好きの三児の父。

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