【柏市】10/17神明社の「十二座神楽」。最後は餅投げも!〈伝統芸能を見に行こう③〉

【柏市】10/17神明社の「十二座神楽」。最後は餅投げも!〈伝統芸能を見に行こう③〉

毎年10月17日は、柏市塚崎にある神明社の大祭の日。

この日、境内の神楽殿で厳かに、そして鮮やかに奉納される「十二座神楽」をご存じですか?

この神楽を初めて拝見したとき、400年にわたって継承されてきた伝統の洗練された美しさに圧倒されたことを、今でも鮮明に覚えています。

この貴重な伝統芸能を多くの方に見ていただきたい――。

そんな思いを込めて、昨年の取材をもとに、その魅力をご紹介いたします。

2021年に完成した新しい神楽殿。休憩時には、裏手に広がる「沼南の森市民緑地」もぜひ訪れてください。清々しい気にあふれていてリフレッシュできますよ!

2021年に完成した新しい神楽殿。休憩時には、裏手に広がる「沼南の森市民緑地」もぜひ訪れてください。清々しい気にあふれていてリフレッシュできますよ!

十二座神楽とは?

創建年代は不詳ながら、鎌倉時代前後に遡るといわれる旧沼南町を代表する名社・神明社。

その大祭で奉演される「十二座神楽」(柏市指定文化財)は、古代神話をもとにした神楽舞で、巫女、猿田彦、湯笹など、12の舞曲からなる荘重な舞楽です。

境内の手洗鉢(柏市指定文化財)には、神楽を執り行うグループ「御神楽衆」が寛文9年(1669年)に奉納したことが記されており、江戸時代初期にはすでにこの地で、十二座神楽が奉演されていたことがわかっています。

近年は多人数で舞う演目は少なくなりましたが、午前・午後を通して見ごたえのある演目が続き、フィナーレの「餅投げの舞」まで、一日優雅な古の情緒を満喫できます。

それでは、それぞれの舞の意味や当日の見どころを順にたどっていきましょう。

↓↓神明社についての過去の記事はこちら↓↓

神明社の御祭神は、天照大神(皇大神宮)、応神天皇(八幡社)、武甕槌神(春日社)。社殿奥の本殿にお詣りできるのは、正月三が日と10月17日の大祭の日だけ!

神明社の御祭神は、天照大神(皇大神宮)、応神天皇(八幡社)、武甕槌神(春日社)。社殿奥の本殿にお詣りできるのは、正月三が日と10月17日の大祭の日だけ!

午前の部:「巫女の舞」から「天宇妥女命の舞」まで

神楽殿の左端から笛や太鼓のお囃子が鳴り響くなか、「巫女の舞」が始まり、一気に古代神話の世界へ引き込まれます。

その後は、魔除けの神・鍾馗(しょうき)が姫の宝玉を鬼から取り返す「玉取りの舞」、2匹の狐が軽やかに舞う「狐の舞」、そして、天岩戸伝説で有名な女神が舞う「天宇妥女命(あめのうずめのみこと)の舞」と続きます。

〈巫女の舞〉古代の儀式にのっとった「神がかり」を表現した舞で、右回り・左回りと交互に回っては回り返す動きを繰り返しながら舞い、その身に神を降ろします。

〈巫女の舞〉古代の儀式にのっとった「神がかり」を表現した舞で、右回り・左回りと交互に回っては回り返す動きを繰り返しながら舞い、その身に神を降ろします。

〈玉取りの舞〉端午の節句の厄除けとしても親しまれている鍾馗様。その姿は、唐の玄宗皇帝が、夢に現れた鍾馗の姿を画家に描かせたという伝説にもとづいています。

〈玉取りの舞〉端午の節句の厄除けとしても親しまれている鍾馗様。その姿は、唐の玄宗皇帝が、夢に現れた鍾馗の姿を画家に描かせたという伝説にもとづいています。

〈狐の舞〉狐は稲の精霊の使いとされ、五穀豊穣を祈る舞です。この2匹の狐を演じているのは…? ぜひ最後まで記事をご覧ください!

〈狐の舞〉狐は稲の精霊の使いとされ、五穀豊穣を祈る舞です。この2匹の狐を演じているのは…? ぜひ最後まで記事をご覧ください!

〈天宇妥女命の舞〉神話ではユニークな踊りで天照大神が隠れた天岩戸を開けることに成功した天宇妥女命ですが、この神楽では弓と矢をもつ力強い女神として厳かに舞います。

〈天宇妥女命の舞〉神話ではユニークな踊りで天照大神が隠れた天岩戸を開けることに成功した天宇妥女命ですが、この神楽では弓と矢をもつ力強い女神として厳かに舞います。

午後の部:「恵比寿の舞」から「餅投げの舞」まで

午後は、日本古来の福の神・恵比寿様とひょっとことのユーモラスな掛け合いが見どころの「恵比寿の舞」で幕を開けます。

続いて、天狗のような顔をした導きの神・猿田彦が登場する「猿田彦の舞」、笹葉に含んだ湯しぶきを四方に振りかけて清める神事「湯立(ゆだて)」を表現した「湯笹の舞」、最後は「餅投げの舞」+「餅投げ」で賑やかに締めくくります。

この日のフィナーレには約150人もの観客が集結。

神楽を支えるベテラン勢にお話を伺うと、若手だった頃、先輩から「もっと盛り上げてほしい」とアイデアを託され、試行錯誤の末に思いついたのが、現在の餅投げのバージョンアップなのだという裏話を教えてくださいました。

〈恵比寿の舞〉恵比寿様というと、右手に釣竿、左脇に鯛を抱える姿が一般的ですが、この神楽で恵比寿様が最後に釣ったものは…? ご注目ください!

〈恵比寿の舞〉恵比寿様というと、右手に釣竿、左脇に鯛を抱える姿が一般的ですが、この神楽で恵比寿様が最後に釣ったものは…? ご注目ください!

〈猿田彦の舞〉ひょっとこが笹のホウキで辺りを掃き清めたあと、短い槍を手にした猿田彦が登場します。

〈猿田彦の舞〉ひょっとこが笹のホウキで辺りを掃き清めたあと、短い槍を手にした猿田彦が登場します。

〈湯笹の舞〉黒い面をつけた神が2本の笹を振りながら舞う「湯笹の舞」。無病息災や五穀豊穣を願います。この辺りからざわざわと境内がにぎやかになってきます。

〈湯笹の舞〉黒い面をつけた神が2本の笹を振りながら舞う「湯笹の舞」。無病息災や五穀豊穣を願います。この辺りからざわざわと境内がにぎやかになってきます。

〈餅投げの舞〉最初はひょっとこが舞い、餅を投げますが…。

〈餅投げの舞〉最初はひょっとこが舞い、餅を投げますが…。

最後はオールキャストで、餅が舞い飛びます。半世紀前に試行錯誤の中で生まれたアイディアは、今もなお、塚崎の神楽を盛り上げ、地域の方々に愛され続けています。

最後はオールキャストで、餅が舞い飛びます。半世紀前に試行錯誤の中で生まれたアイディアは、今もなお、塚崎の神楽を盛り上げ、地域の方々に愛され続けています。

若い舞い手にインタビュー!

神楽のメンバーの中に若い方の姿を発見し、お話を伺いました。

インタビューに答えてくださったのは、大学生の中山美里さんと中山香里さん。

双子の姉妹で、「狐の舞」を息ぴったりに演じられました。


――いつから十二座神楽に参加しているのですか?

中山美里さん:小学6年生のときから参加しています。

――きっかけは?

中山香里さん:神明社で十二座神楽のチラシを見て、「面白そう!」と思ったのがきっかけです。

――練習で難しいと感じる点は?

美里さん:演奏の楽譜はないですし、舞いの動きも先輩を見て覚えなければならないところでしょうか。

――大学との両立は大変ではないですか?

香里さん:忙しいですが、それ以上に楽しいです。好きなので続けたいと思っています。

美里さん:代々続いてきたものを途切れさせたくないですし、何よりも、アットホームな雰囲気なので、やめたいと思ったことは一度もありません。


「楽しいから好きだから続けたい」というお二人の言葉と、息のあった舞いからは、神楽への深い愛情が伝わるようでした。

時代が変わっても地域の人々を魅了し、大切に守られてきた「十二座神楽」。

今年の10月17日は、塚崎の神明社で、400年の歴史がおりなす美しさと活気に触れてみませんか?

中山美里さん(左)と中山香里さん(右)。香里さんが神社巡りが好きだったことから、2人で神明社を訪れるようになったのがきっかけ。伝統を楽しんでいる姿がステキですね。

中山美里さん(左)と中山香里さん(右)。香里さんが神社巡りが好きだったことから、2人で神明社を訪れるようになったのがきっかけ。伝統を楽しんでいる姿がステキですね。

「軽食&喫茶 アンチーブ」でほっと一息

大祭が終わったあとは、神明社から徒歩15分のオシャレなカフェ「軽食&喫茶 アンチーブ」さんでティータイムはいかがですか?

店内は穏やかなクラシックが流れ、のどかな田園風景を眺めながらいただくスイーツは、身も心も癒してくれますよ~!

この日、筆者がいただいたのが、「りんごのタルト」と紅茶。甘みと酸味の絶妙なハーモニーに癒されます。

この日、筆者がいただいたのが、「りんごのタルト」と紅茶。甘みと酸味の絶妙なハーモニーに癒されます。

越しに見える田んぼにもまた癒されます💕 神明社とアンチーブさんは、私が時々訪れたくなる場所です。

越しに見える田んぼにもまた癒されます💕 神明社とアンチーブさんは、私が時々訪れたくなる場所です。

2026年神明社例祭スケジュール

15日(木)午前7:00~ 幟幡棹上げ

16日(金)午後6:00~ 前夜祭:かっぱ太鼓・東葛雅楽会奉納演奏

17日(土)
午前10:00~ 例祭神事
午前10:30~ 十二座神楽奉納演舞
午後12:00~ えんぎや若丸紙芝居パフォーマンス
午後1:00~ 例祭神事
午後1:30~ 十二座神楽奉納演舞

18日(日)午前7:00~ 幟幡棹返し

※開始時刻は予定となります。
※16日(金)・17日(土)には屋台も出店予定。

神明社

軽食&喫茶アンチーブ

【柏】祭りの季節!伝統芸能を見に行こう!①柏市指定文化財「手賀ばやし」

「手賀ばやし」という柏市手賀地区の伝統行事をご存知ですか? 毎年7月の第一日曜日に手賀地区の夏祭りで奉納されるお囃子で、柏市指定文化財(無形民俗文化財)になっています。 興福院境内で神事をおこなったあと、神輿と山車が兵主(ひょうず)八幡神社に向かい、その復路に様々な演目が演じられるというもの。 当日のレポと、事前に「手賀ばやし保存会」会長の篠原喜世雄さんにお話を伺ったインタビュー記事とあわせて、手賀ばやしの魅力をご紹介いたします。

「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

【中止】【柏】祭りの季節!伝統芸能を見に行こう!② 8/16開催「篠籠田の三匹獅子舞」

毎年8月16日に、柏市の西光院でおこなわれる「篠籠田の三匹獅子舞」。 筆者は3年前に拝見して以来、この行事は、夏の欠かせない楽しみとなりました! 千葉県の無形民俗文化財に指定されている三匹獅子舞の見どころを、昨年の写真とともにご紹介しましょう。 ※2024年の篠籠田の三匹獅子舞については、台風の影響により、8月15日午前、中止が決定しました。

「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。

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