各地で文化祭開催のお知らせが聞かれ、芸術の秋を身近に感じる今日この頃。
柏や流山には、オシャレで個性的な美術館があるのをご存じですか?
流山の「森の美術館」、柏の「中村順二美術館」は、建物まるごとアートな空間で、私が気分転換したいときに訪れる大好きな美術館です。
今回は、「アートラインかしわ2022」期間中に両美術館で開催される展覧会(※)をそれぞれご紹介いたします。
※「アートラインかしわ」では、同時期に開催されるアート展示・イベントと連携し、一緒に柏および近郊のアートを盛り上げようという取り組みもおこなっています。
↓↓柏駅周辺で開催されている(された)連携事業についてはこちらをご覧ください↓↓
URL: 【柏】「アートラインかしわ2022」見どころ②:駅チカ! 猫展、ワンコ展、「音*色」展
周囲の自然とともにアートを。森の美術館「倉島重友展 ~風の刻によせて~」
流山おおたかの森駅から徒歩20分(バスを利用すると約10分)。
森の美術館は、大畔(おおぐろ)の森の中に2016年にオープンした美術館です。
森忠行館長のもと、地域の芸術文化活動に貢献することを目的として運営され、近隣のおおぐろの森小学校との交流もさかんです。
新しいビルが建ちならぶ駅周辺から20分歩いただけで、緑豊かな自然とともにアートを楽しめます!
展示室手前のカフェスペースから眺める景色にも癒されます。(現在カフェは休業中)
そんな森の中にある、森館長による「森の美術館」で現在開催されているのが、「倉島重友展 ~風の刻によせて~」。
倉島氏は長野県出身で茨城県在住の日本画家。現在78歳。「院展」出品者の中でも38名しか選ばれていない「日本美術院同人」という最高峰の称号を持つ一人です。
倉島氏については今回初めて知ったのですが、その作品の中に囲まれて、二度三度と眺めているうちに、単に淡いタッチの風景画にとどまらない、引き込まれるような奥深さを感じました。
森館長自身が「先生のお人柄そのものではないか」とおっしゃるとおり、倉島氏の目を通した、穏やかな世界が広がっていて、それが何とも心地よいのです。
幻想的な画風の秘密は「洗い出し」の技法。描いた絵の全面に薄い金属の箔を貼り、濡れた布などでこすって下の絵を浮かび上がらせています。
右側が、日本美術院大観賞を受賞した代表作の「川風」(2001年)。カシミール地方の女性が描かれています。
手前から「放牧の丘」(2019年)、「紹興雨余」(1993年)。倉島氏の絵と外の景色が一体化して、穏やかな空間を作っています。
森館長が一番お好きだという「小憩」(2004年)の前で。「院展で拝見していた倉島先生の展覧会をここで開催できて、本当にうれしい」と館長。
森の美術館と森かずお氏
私が森の美術館を初めて訪れたのは、昨年開催された「森かずお写真展」のときでした。
手賀沼や大師講など、沼南地域を中心とする地元の自然や風俗を撮り続け、2019年に他界された写真家・森かずお氏(1951~2019年)。
残された膨大なフィルムを同美術館が整理し、2021年4月~6月に写真展を開催。森かずお氏の業績を多くの方々が知る機会となりました。
前期・後期の2回に分けて、森かずお氏の作品が展示されました。
豊かな自然をいかして、後期では、竹林の中に野外展示も。
カフェでランチも! オシャレな写真映え空間「中村順二美術館」
1999年に27歳で夭折した中村順二さんの作品を常設展示している中村順二美術館。
現在、開催されている企画展が「森かずお写真展」です。
「うちで何回か森さんの個展を開催したし、地元(風早)だし」と、昨年の森の美術館に続き、開催にあたって特別な思いを語る館長・中村勝氏。
大師講など沼南地域の風俗写真は貴重な資料として、その価値は計り知れないものがありますが、それ以上に、様々な表現を追求し続けた森かずお氏の作品は、アートとして心を揺さぶられるものであることを今回改めて感じました。
心が動く瞬間、一瞬をとらえた芸術をぜひご堪能ください。
↓↓中村順二美術館の常設展示等をご覧になりたい方はこちらの記事をご参照ください↓↓
URL: 【柏】豊かな歴史と文化がいっぱい!
駐車場にも森かずお氏の作品が! 毎朝展示して夕方には撤去する…館長の並々ならぬ思い入れが、入館する前から感じられます。
外観もオシャレですが、内装もオシャレで写真映えしますよ!
「写真のサイズは同じものばかりではないから、額装も簡単じゃないんだよ。森さんはフィルムにこだわり、森さん自身で現像して引きのばしているからね」と中村勝館長が説明してくださいました。
森かずおさんのカラーの写真は特に、自身のアーティスティックな感性で現像されていて、一点一点目がくぎづけになります。
中村順二美術館の近くにある「マクドナルド16号沼南店」を撮ったポップな作品「Mの月」。大好きな写真です。
「森さんの作品は、油絵で使う額装でも負けないんだよね。この額は本人が選んだものだよ」と、手前の「石仏」について語る中村館長。
私のカメラごしに、どれだけ素晴らしさが伝わるかわかりませんが、こんなに胸がキュンとなる花の写真を見たことはありません。
鑑賞後はカフェで一息
中村順二美術館では、カレーやお蕎麦も食べられ、飲み物のメニューも豊富なので、鑑賞後にいかがですか?
お疲れの方には天然カフェイン豊富な「ガラナジュース」、ほっとしたい方はホットチョコレートにシナモンとクローブを加えた「チョコラーダー」がオススメ!
そのほか、地元の作家さんたちが作った陶器や地元食材を使った食品なども販売されているので、お土産にいかがですか?
企画展示の開催中も、カフェで中村順二さんの色鮮やかな絵を見ることができます。
一流シェフ直伝の、野菜の甘味いっぱいの本格カレー。美味しくてペロッと食べちゃいます!
私が行くたびに購入するのは「しそジュース」。サイダーで割ると美味しいし、元気が出ます!
最後に告知になりますが…
いかがでしたでしょうか?
どちらの美術館も非日常的な空間の中でアートを鑑賞でき、癒されること間違いないしですので、ぜひ訪問してみてください!
また、この機会に、旧沼南町出身の天才写真家・森かずおさんについても多くの方々に知っていただければと思います。
さて、最後に告知をさせていただきます!
「アートラインかしわ2022」の連携事業として最後に登場するのが、11月20日(日)に北柏ふるさと公園で開催される「きたかしわぶんかさい」(主催:北柏楽しいことやっちゃおうプロジェクト)。
昨年に引き続き、第2回目となる本イベントでは、様々なジャンルのワークショップや展示、パフォーマンスがおこなわれ、カフェ「花小鳥」さんやキッチンカーで食事もできるので、一日公園内で楽しめます。
私の箏(こと)の体験・演奏コーナーもありますので、ご興味のある方はぜひいらしてください!
倉島重友展 ~風の刻によせて~
- 【開催期間】2022年10月1日(土)~12月22日(木)
【会場】森の美術館
【住所】千葉県流山市大字大畔315
【電話】04-7136-2207
【開館時間】10:00~16:00(入館15:30まで)
【入館料】大人600円、中・高生300円 小学生以下無料
※事前予約制
※飲み物付き(現在カフェ休業中)
【休館日】月曜日・火曜日(12月19日・20日は開館)
【アクセス】流山おおたかの森駅より徒歩20分。
〈バス利用の場合〉東武バス西口ロータリー2番乗り場より、「南流山駅・クリーンセンター行」に乗車、「大畔(おおぐろ)」バス停下車。徒歩5分
【駐車場】7台
森かずお写真展
- 【開催期間】11月2日(水)~11月27日(日)
【会場】中村順二美術館
【住所】千葉県柏市大津ヶ丘1-41-5
【電話】04-7191-2299
【開館時間】10:00~18:00
【入館料】無料
【休館日】月曜日、火曜日
きたかしわぶんかさい
- 【開催日時】2022年11月20日(日)10:00~
【会場】北柏ふるさと公園
【住所】千葉県柏市呼塚新田字南道灌橋205他
【主催】北柏楽しいことやっちゃおうプロジェクト
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※記事に掲載した内容は公開日時点の情報です。変更される場合がありますので、お出かけ、サービス利用の際はHP等で最新情報の確認をしてください
この記事を書いたのは…
「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子
柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。