【柏】アートラインかしわ@パレット柏 共晶点 for M ~柏ゆかりの新進作家展~(11/8-11/12)

【柏】アートラインかしわ@パレット柏 共晶点 for M ~柏ゆかりの新進作家展~(11/8-11/12)

 今回はアートラインかしわのメインイベントの一つである「共晶点」についてご紹介します。

 共晶点は、様々な分野のアーティストの合同展覧会で、今年12年目を迎えます。今年の共晶点には、柏にゆかりのある若手から中堅の作家20人が作品を出展。11月8日(水)から11月12日(日)にかけて、パレット柏の市民ギャラリーにて開催されます。
 もともと共晶点とは、複数の成分が混ざり合う溶液から共融混合物が生じる温度のことで、それになぞらえ、「日本画、油画、彫刻、金工、刺繍、折紙など、手法は違えども、それぞれ自らの表現にひたむきに向き合う作家たちのエネルギーが化学反応を起こし、まばゆい結晶が生まれる」ものとなっています。

「for M」とは

 今回の共晶点には「for M」の言葉が添えられています。これは、今年2月に旅立った彫刻家である故・松隈健太朗氏に捧ぐ、という意味で、共晶点には松隈さんの作品も展示されています。
 松隈さんは、東京芸術大学・同大学院出身の彫刻家で、2017年には第5回 Art in the office 2017 CCC AWARDS グランプリを受賞、共晶点には初回から作品を出展しています。
 松隈さんは植木屋だった父の仕事の手伝いをしていた事で、木彫の素材である木をそのままの姿を生かして作る事に特に晩年はこだわっていたそうです。
 植木屋の仕事では庭木を維持出来ず処分する世帯が増えて、剪定作業だけではなく、伐採や抜く事も多くなり、そういった庭木を松隈さんは捨てずに貰ってきて彫刻をすることも。木彫は彫りやすい楠や桜などを素材として使う作家が多いところ、松隈さんの彫る木は木斛や百日紅、柘植、楓、蜜柑など色々な種類がありました。
 「それは時にとても彫りづらく、硬くて彫刻刀の方が負けるような物もあり、まめにノミを研ぎながら慎重に少しずつ彫って形にしていました。着彩する事も嫌い、火で燻して黒くしたり色づけしておりました。」そう語るのは奥様の松隈雅江さん。
 非常に手間がかかり、丁寧に作られている作品です。そういった思い・背景も念頭に置くと、作品をより深く味わえるのではないでしょうか。

松隈健太朗さん

松隈健太朗さん

松隈健太朗さんの作品「背を行く日」

松隈健太朗さんの作品「背を行く日」

松隈健太朗さんの作品「CHANT 聖歌」

松隈健太朗さんの作品「CHANT 聖歌」

松隈健太朗さんと一緒に共晶点を作った日本画家、福永明子さんのメッセージ

 松隈健太朗さんと一緒に共晶点を作った日本画家、福永明子さんの追悼のメッセージを福永さんの作品を交えてご紹介します。

「松隈さんと出会ったのは、アートラインかしわ2011の合同展示の際に、受付当番で一緒になった時でした。そのお陰で翌年に共晶点ができました。
 松隈さんは、木の中に存在するカタチを彫り出してあげるのだと言っていました。
 その自己と作品の関わり方、作品から醸し出される愛情、誰とでも仲良しになれる温和で気さくなお人柄、本当に大好きな仲間でした。

 私が2017年に、仕事で能舞台の松を描くことになり、共晶点の受付で、松の図案を見ながらアドバイスをしてくれたことが、とても印象深い思い出となりました。
 なので今回は、いつか描こうと思っていた、京都御所の古い松を描きました。
苔むした老松の幹に着生植物が生き生きと生える様が、魂を次世代に繋ぎ、自らが糧となる姿と重なりました。
 そこには、見えざる芸術の花が永遠に咲き続けるでしょう。」

福永明子さんの作品「宿生(すくせ)の花」

福永明子さんの作品「宿生(すくせ)の花」

福永明子さんの作品「はなむけ」 ~花を手向けることは、別れを惜しむという意味合いよりも、新しい旅立ちに『行ってらっしゃい』の気持ちを贈るものだという思いを込めて描きました。

福永明子さんの作品「はなむけ」 ~花を手向けることは、別れを惜しむという意味合いよりも、新しい旅立ちに『行ってらっしゃい』の気持ちを贈るものだという思いを込めて描きました。

 福永さんは2024年2月29日〜3月10日に銀座柳画廊で個展を開催予定です。

 共晶点は、11月8日(水)から11月12日(日)にかけて、パレット柏の市民ギャラリーにて開催されます。柏駅東口から徒歩3分とアクセスも良好ですので、この機会に松隈さんをはじめとする柏ゆかりのアーティスト達の作品を鑑賞してみてはいかがでしょう。
※開催時間は10:00-19:00(初日は13:00から、最終日は18:00まで)

パレット柏

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koji-koji

柏市在住。四季折々の季節の良さ、歴史的な名所・史跡・行事、メジャーなのからマイナーのまで様々なイベントなどを巡ったりするのが好きな千葉県民・柏市民です。農園を借りて野菜や花を育てています。

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