【我孫子市】ノスタルジーを感じる土地。まちづくりのキーパーソン・晃南土地代表の中澤氏が語る我孫子の魅力

【我孫子市】ノスタルジーを感じる土地。まちづくりのキーパーソン・晃南土地代表の中澤氏が語る我孫子の魅力

Instagramから流れてきた「我孫子市100人カイギ」の写真を偶然目にしたとき、その参加者の一体感をも感じさせる和やかな雰囲気に魅了されました。

その仕掛け人となったのが、我孫子に根ざした不動産会社「晃南土地株式会社」代表の中澤洋一氏。

人と人をつなぎ、我孫子まちづくりのキーパーソンのひとりである中澤氏に、地域への思いを取材してまいりました。

2014年に晃南土地㈱の代表取締役に就任した中澤氏。同社の企業メッセージを表したイラストの前で。

2014年に晃南土地㈱の代表取締役に就任した中澤氏。同社の企業メッセージを表したイラストの前で。

なぜまちづくりを?

――我孫子のまちづくりを牽引している中澤さんですが、なぜ不動産会社の代表がまちづくりをされているのですか?

中澤氏:不動産という仕事を通じて、社会的役割を考えたとき、我孫子を初めて訪れた方に入口として私たちがご紹介する…。
また、そうやって住まわれた方に、「こんなお店がありますよ」と、人と人をつなぐことが役割だと思っています。
その延長で、我孫子市100人カイギもキュレーターのひとりとして主催しました。

2023年から2024年に開催された「我孫子市100人カイギ」。晃南土地所有のこのレンタルスタジオで、全20回のうち18回が開催されました。

2023年から2024年に開催された「我孫子市100人カイギ」。晃南土地所有のこのレンタルスタジオで、全20回のうち18回が開催されました。

――中澤さんは我孫子の出身ですか?

中澤氏:いえ、印西市の木下です。

――我孫子への思いが深いようにお見受けするので、てっきりお生まれも我孫子かと(笑)。どんなお子さんだったのですか?

中澤氏:実家が精米所だったので、小さい頃から、米や肥料の配達など、父親の手伝いをしていました。
そのときにお客さんから「洋ちゃん、今日も来てくれてありがとうね」と言われたり、お菓子や野菜をもらったりしたことが、今思うと「人に喜んでもらいたい」「人と人をつなげたい」という自分の仕事の価値観に結び付いているように思います。

言葉を選びながら丁寧にお話しくださった中澤氏。取材がおこなわれた晃南土地1階ギャラリーでは、現在、アイアン作家・松岡信夫氏の作品が展示されています。

言葉を選びながら丁寧にお話しくださった中澤氏。取材がおこなわれた晃南土地1階ギャラリーでは、現在、アイアン作家・松岡信夫氏の作品が展示されています。

ラグビーと街をつなげたい

――御社はNECグリーンロケッツ東葛の企業スポンサーもされていますね。

中澤氏:はい。実は私は高校生のときにラグビー部に所属していたんです。
息子が「あびこラグビースクール」に通いはじめたら、経験者が少ないということで、いつの間にかコーチになってしまって(笑)。
その流れで、2022年にラグビーのプロリーグが発足してグリーンロケッツが加わったとき、企業スポンサーを募集していたので、手を挙げさせていただきました。

――会社の宣伝にも…?

中澤氏:というより、スポーツを通じて地域活性化を図ることが目的なんです。
自分なら、街とラグビー選手をつなげられるのではないかと思って。

――街とラグビー選手をつなげると、どんなよいことが?

中澤氏:選手一人ひとりが街の人から愛されるチームなったほうが、より強くなれるんじゃないかと思うんです。
「この街が好きだから、ラグビーを通じて子どもたち夢を与えたい」という思いを選手たちが持つようになれば、ファンも増えて、選手たちは“人に喜んでもらう”という大切なものが見えてきて、ラグビーをプレーする目的も変わってくるのではないかと。

――もはやラグビーをしたいからではなく…。

中澤氏:はい。“ラグビーが好き”だけでは真に強くはなれないと思うんです。
4月19日の試合では、初めてエスコートキッズを募集したんです。
小さい子どもたちにラグビーを知ってもらいたいですし、選手と我孫子市民をもっとつなげたいですね。

試合当日、招待されたエスコートキッズは、晃南土地×GREEN ROCKETSのオリジナルロングTシャツを着て入場予定! ©NEC GREEN ROCKETS TOKATSU

試合当日、招待されたエスコートキッズは、晃南土地×GREEN ROCKETSのオリジナルロングTシャツを着て入場予定! ©NEC GREEN ROCKETS TOKATSU

「私たちにしかできない街創りを」

――我孫子のまちづくりをどのようにお考えですか?

中澤氏:我孫子は100年前に白樺派の文化人が移り住み、「北の鎌倉」と呼ばれていました。
最近は、新しいビルも建ちはじめましたが、水辺があって緑があって住宅があって、という景観は100年前とそれほど変わっていないと思うんです。

――歴史文化、自然が豊富ですよね。

中澤氏:弊社では、2019年に「私たちにしかできない街創りを」という企業メッセージを策定し、これを伝えるイラストを制作したんです。
こちらの壁にも描かれていますが、建築イラストレーターのご夫婦が主宰するイスナデザインさんに制作を依頼しました。

――ホームぺージや会社案内の冊子にも掲載されている御社のシンボル的なイラストですよね。手前は手賀沼ですね。

中澤氏:はい。左上には手賀沼花火大会、虹の左側に「けやきプラザ」、私たちの会社はその真ん中に描かれています。
そのほか、幼稚園で子どもが砂遊びをしたり、おせんべい屋さんがあったり、トライアスロンをしたり…、いろいろな人の暮らしがあります。
このような我孫子の良さを継承していき、暮らしやすい街にしていくことが「私たちにしかできない街づくり」だと思っています。

――会社のミッションが、このイラストに表現されているんですね。

中澤氏:このイラストを掲げたことで、街に住むクリエイティブな方々とつながって、私たちは単にお客様に貸したり売ったりしているのではなく、お客様の暮らしをデザインするのだと、まちづくりのイメージや仕事のあり方すら変わったんです。

「登場する全ての人の顔までしっかり描かれているんですよ」と中澤氏。デザインの定義を理解するために、代表になってからデザインの学校に1年通ったというエピソードも教えてくださいました。

「登場する全ての人の顔までしっかり描かれているんですよ」と中澤氏。デザインの定義を理解するために、代表になってからデザインの学校に1年通ったというエピソードも教えてくださいました。

暮らしにアートを取り入れて

――暮らしのデザインという点では、「ART-VILLAGE(アートビレッジ)」というリノベーション事業で、暮らしにアートを取り入れるという提案をされていますね。

中澤氏:リノベーション事業を始めたとき、1,000世帯あるつくし野の「我孫子ビレジ」というマンションの一室を購入することができたのですが、いろいろな人たちとの関わりを持つことができる集合住宅の良さを、私たちの取り組みによって取り戻せないかと考えたんです。

――集合住宅は、現在、空き室問題や高齢化問題なども顕著ですよね。

中澤氏:はい。リノベをするうえでの課題は3つあって、①リノベーションした部屋を見たことがない、②どこに依頼したらよいのかわからない、③住みながらリノベーションすることができない。

――なるほど。でも、現実的にはなかなか難しいことですよね。

「我孫子ビレジ」のリノベーションした一室。

「我孫子ビレジ」のリノベーションした一室。

中澤氏:そこで、集合住宅の間取りはほぼみな一緒なので、我孫子ビレジの一室をリノベーションして見学できるようにしたんです。
また、地元の不動産会社なのですぐにサポートできますし、一時的に住む部屋を賃貸で提供できるようにしました。
お陰様で、取り組み自体が素晴らしいと評価をいただき、2023年にグッドデザイン賞を受賞しました。

――ステキな取り組みですね!

中澤氏:実は、引き渡しの際には、お客様にアートのプレゼントをしているんです。
アート作品を飾ることで、今までお住まいになっていた方に、新しい物語を提供できればと。

――お客様のその後の物語を知りたくなりますね。
そもそも、アートを取り入れるという発想はどこからきたんですか?

中澤氏:白樺派ですね。100年前と同じ景観が保たれている我孫子で、同じように暮らしにアートを取り入れることができればと。

――やはり白樺派に行きつくんですね。

中澤氏:実は、産学官が連携した我孫子のまちづくり事業が昨年から立ち上がり、17名の委員の一人として声をかけていただいたんですが、今年の11月と12月に白樺芸術祭の開催が決定しました。

――どんなイベントなんですか?

中澤氏:過去現在未来をテーマに、白樺派、中央学院大学の学生のパフォーマンス、現代アートの作品展示などができればと思っています。

――次年度以降も定期開催ですか?

中澤氏:毎年開催したいと思っています。日本各地の白樺派の美術館にもお声がけして、全国から人が来ていただくようなイベントになれば…。

――どんどん広がりますね!

まちづくり事業の一環として、2019年10月27日(日)に開催された「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」の一コマ。当日の会場の手賀沼公園は、4,000人以上の来場者で賑わったそうです。

まちづくり事業の一環として、2019年10月27日(日)に開催された「ネイバーシップ我孫子国際交流文化祭」の一コマ。当日の会場の手賀沼公園は、4,000人以上の来場者で賑わったそうです。

ノスタルジックな街・我孫子

――我孫子の良さって何でしょうか?

中澤氏:昔と変わらない街並みに、居心地の良さが感じられるのではないかと。
一人ひとりの子ども時代に培った記憶の根底にあるものが、我孫子にはあるのではないかと思うんです。

――100年前と変わらない景観が残っている我孫子だからこそ、自分のルーツに出会えるような…?

中澤氏:人によって、それが田舎の光景だったり、人のふれあいだったり…、いい印象が我孫子には詰まっているんじゃないかと思っています。
一言でいうとノスタルジック。

――ノスタルジック?

中澤氏:昨年、大阪府在住の画家・時任海斗さんをお招きして、アーティスト・イン・レジデンスを実施したのですが、時任さんが発表しているブログの記事にとても共感したんです。

我孫子は都会から程よい距離にある、都市化されていないノスタルジアを感じる街だと思う。
(中略)ノスタルジアとは負の感情から心を守る脳の機能でもある。
孤独を感じたときに、遠くに住む家族や昔住んでた田舎を思い出し、さみしい様な暖かい様な気持ちになり、最終的に孤独感が軽減されるという。
つまり、お守りの様な存在かもしれない。
(「我孫子市滞在制作日記」より)


――中澤さんの子ども時代の記憶ともリンクするものが…?

中澤氏:将監川(しょうげんがわ)という川や山があって駆けまわって、お祭りがあって、商店街があって人々の交流があって…。
それが我孫子にもある。

我孫子は自分にとっても、ノスタルジーを感じさせる居心地のよい場所であるんですね。

本年2月からこのギャラリーでは、ひと月に一回、地域の方々が交流できる「A-LIFE CAFE」が開催されています。何か事業を始めてみたいという方の、スタートアップの場としてもオススメです。

本年2月からこのギャラリーでは、ひと月に一回、地域の方々が交流できる「A-LIFE CAFE」が開催されています。何か事業を始めてみたいという方の、スタートアップの場としてもオススメです。

インタビューを終えて

中澤氏は何かをツールに、人と人、人の生活、街が、少しずつ動いて発展していくサイクルを常にイメージされているように感じました。

そのストーリーの広がりを想像し、現実となっていくプロセスを楽しんでいらっしゃるのでは…。

お話をうかがっているうちに、我孫子駅前の不動産会社から、我孫子全域、そして東葛エリアにわたって、まちが活性化していく…そんな中澤氏の見ている景色が、私にも見えてくるような気がしました。

我孫子駅前にある晃南土地外観。中澤氏のストーリーはここから始まります。

我孫子駅前にある晃南土地外観。中澤氏のストーリーはここから始まります。

晃南土地株式会社

  • 【代表取締役】中澤洋一
    【所在地】千葉県我孫子市本町2-3-24
    【TEL】04-7182-6662
    【FAX】04-7182-1962
    【メール】info@kounantoti.co.jp
    【営業時間】10:00~18:00(水曜日/第3火曜日定休)
    【事業内容】売買仲介・不動産買取り・賃貸仲介・賃貸管理・宅地開発・土地分譲・駐車場管理・リノベーション・各種リフォーム工事・レンタルスタジオ
    【晃南土地株式会社ホームぺージ】https://kounantoti.co.jp/
    【Abiko A-life(あびこエーライフ)】https://abiko.life/
    【ART-VILLAGE(アートビレッジ)】https://art-village.jp/
    【A-life RENTAL STUDIO(公式サイト)】https://abiko-studio.kounantoti.co.jp/
    【不動産買取強化中!「かんたん60秒査定」】https://kounantoti.co.jp/contact/assess/

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※記事に掲載した内容は公開日時点の情報です。変更される場合がありますので、お出かけ、サービス利用の際はHP等で最新情報の確認をしてください

  • 「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

    2025年04月14日 18時36分

    中澤様、コメントありがとうございます。中澤様のまちづくりへの想い…ステキなお話しでした。

  • sena

    2025年04月14日 16時47分

    取材ありがとうございました。 たくさんの方に想いが伝わったら嬉しいです。

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この記事を書いたのは…

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。

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