【柏】増尾発「民話の里づくりプロジェクト」。「鎌倉殿の13人」からピカチュウまで!?

【柏】増尾発「民話の里づくりプロジェクト」。「鎌倉殿の13人」からピカチュウまで!?

縄文から古墳時代の遺跡の数々、中世の城跡、国・県・市指定の文化財など、市内屈指の歴史ネタの宝庫・増尾。
そんな増尾では、昨年、増尾町会により、地域活性化につながる「民話の里づくりプロジェクト」が発足しました。

その一環として、6月26日(日)に土小学校で開催されたのが、「ますお今昔ものがたり ~民話の中の増尾村~」のお話し会。
講師は、おなじみ「なかじー」こと、柏市観光協会事務局長の中島貴洋さん!

この「お話し会」の様子や、関連の歴史スポット、増尾人オススメのカフェを取材させていただいたので、ご紹介いたします。

土小学校の体育館でお話し会が開催され、100人以上の地元の方々が参加されました。

土小学校の体育館でお話し会が開催され、100人以上の地元の方々が参加されました。

増尾町会の画期的な取り組みに、太田和美市長も視察にいらっしゃいました。

増尾町会の画期的な取り組みに、太田和美市長も視察にいらっしゃいました。

中島さんは柏生まれ柏育ち。「増尾地域には遺跡とよばれるところが9か所もあるんですよ。」

中島さんは柏生まれ柏育ち。「増尾地域には遺跡とよばれるところが9か所もあるんですよ。」

「鎌倉殿の13人」も関連あり! 相馬氏にまつわる2つの城跡!

実は、増尾には「増尾城」「幸谷城」という中世の城跡が2つあるんです。
「まちっと柏」の過去の記事で、相馬氏についてはこれまでも触れていますが、ここで、中世の益尾(増尾)村を含む下総国相馬郡について、おさらいしましょう。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で岡本信人さんが演じるのが、源頼朝の信頼も厚かった千葉氏中興の祖である千葉常胤(つねたね)。
その次男・師常(もろつね)が、中世に下総国相馬郡を支配した相馬氏の初代となり、益尾村は、師常の子孫たちに引き継がれていきました。
2つのお城は、相馬一族の居城(館)だったのではないかといわれています。

2つの城跡について語る中島さん。増尾城は、アスレチック遊具やバーベキューサイトも備えた城址公園として、ご存じの方も多いでしょう。

2つの城跡について語る中島さん。増尾城は、アスレチック遊具やバーベキューサイトも備えた城址公園として、ご存じの方も多いでしょう。

幸谷城館跡に行ってみました!

イベント終了後、早速、土小学校のすぐ近くにある幸谷城館跡に行ってみました。

現在は、カシニワ制度を利用して「柏ふる里つくり隊」が、幸谷城館跡である「きつね山」を管理しています。この地は、柏ゆかりの画家・髙島野十郎が晩年にアトリエをかまえた地としても知られています。

現在は、カシニワ制度を利用して「柏ふる里つくり隊」が、幸谷城館跡である「きつね山」を管理しています。この地は、柏ゆかりの画家・髙島野十郎が晩年にアトリエをかまえた地としても知られています。

防御性を高める「空堀」もはっきりとわかります。

防御性を高める「空堀」もはっきりとわかります。

城館の中心部分である主郭。ベンチも置かれ、一休みできるようになっています。森林から英気を養えますよ!

城館の中心部分である主郭。ベンチも置かれ、一休みできるようになっています。森林から英気を養えますよ!

敷地内には、主屋を含む6棟の建造物が国登録有形文化財になっている「伊藤家住宅」があります。(城館跡は現在は公有地ですが、住宅の方は私有地なので入れません。)

敷地内には、主屋を含む6棟の建造物が国登録有形文化財になっている「伊藤家住宅」があります。(城館跡は現在は公有地ですが、住宅の方は私有地なので入れません。)

民話から見える増尾の歴史①「まれいど」

「お話し会」に戻りましょう。
中島さんが増尾に伝承されている5つの民話について説明してくださいました。ここでは、そのうちの3つをご紹介しましょう。

「まれいど」は、江戸時代、妙見堂に集まってお祭りの準備をする村人たちの会話から、相馬氏と増尾村の関係がうかがえるお話。

「まれいど」の舞台は妙見堂。千葉氏やその一族の相馬氏は妙見菩薩を信仰していました。妙見とは北極星や北斗七星のことです。

「まれいど」の舞台は妙見堂。千葉氏やその一族の相馬氏は妙見菩薩を信仰していました。妙見とは北極星や北斗七星のことです。

管理が難しくなったことから、妙見堂は昭和58年(1983年)に取り壊されてしまいましたが、平成14年(2002年)萬福寺に再建され、跡地にこの記念碑が建てられました。

管理が難しくなったことから、妙見堂は昭和58年(1983年)に取り壊されてしまいましたが、平成14年(2002年)萬福寺に再建され、跡地にこの記念碑が建てられました。

県指定文化財からピカチュウまで! 盛りだくさん萬福寺!

萬福寺も土小学校の近くにあるので、イベント終了後に行ってみました。
萬福寺は寛永15年(1638年)に創建された真言宗豊山派のお寺。江戸末期にここでおこなわれていた寺子屋が土小学校のルーツです。
境内には様々なキャラクターの石仏が置かれていますので、それを探してまわるのも一興です!

萬福寺本堂。右側にはピカチュウ。左側には有名なネズミのキャラクターらしき石仏が…。

萬福寺本堂。右側にはピカチュウ。左側には有名なネズミのキャラクターらしき石仏が…。

九州某県の有名キャラクター。

九州某県の有名キャラクター。

再建された妙見堂。

再建された妙見堂。

寛永2年(1625年)に創建されたと伝えられる阿弥陀堂。紫陽花がステキでした。

寛永2年(1625年)に創建されたと伝えられる阿弥陀堂。紫陽花がステキでした。

阿弥陀堂には、平安時代後期(12世紀)の作と推定される木造阿弥陀如来坐像が安置されています(千葉県指定文化財。通常非公開)。この像がなぜ江戸初期に創建された阿弥陀堂に安置されているのかは不明です。

阿弥陀堂には、平安時代後期(12世紀)の作と推定される木造阿弥陀如来坐像が安置されています(千葉県指定文化財。通常非公開)。この像がなぜ江戸初期に創建された阿弥陀堂に安置されているのかは不明です。

民話から見える増尾の歴史②「厄病おん出し」

再び「お話し会」に戻りましょう。
「厄病おん出し」は、増尾村で疫病が流行したときに、鎭守様の神輿を担いで、村はずれの大きな杉の木のある三又まで練り歩いたところ、病人たちが日に日に回復していったというお話。

「厄病おん出し」の舞台は「廣幡八幡宮」。

「厄病おん出し」の舞台は「廣幡八幡宮」。

廣幡八幡宮は、第59代宇多天皇の御代(887~897年)に宇多天皇の勅願により下総国の鎭守として創建されたと伝えられています。

廣幡八幡宮は、第59代宇多天皇の御代(887~897年)に宇多天皇の勅願により下総国の鎭守として創建されたと伝えられています。

廣幡八幡宮の右裏手には、柏市指定文化財の「宮根遺跡」があります。弥生時代末葉から古墳時代初頭に属する3軒の竪穴住居跡に、縄文時代2軒の竪穴住居跡が重複したものだと考えられています。

廣幡八幡宮の右裏手には、柏市指定文化財の「宮根遺跡」があります。弥生時代末葉から古墳時代初頭に属する3軒の竪穴住居跡に、縄文時代2軒の竪穴住居跡が重複したものだと考えられています。

民話から見える増尾の歴史③「カラス天狗と祭り見物」

再び「お話し会」に…。
「カラス天狗と祭り見物」は、増尾村に一人で暮らす足の不自由なおばあさんとカラス天狗のお話。おばあさんは、ある日、小坊主に姿を変えたカラス天狗におぶってもらって祭りに行き、その夜、小坊主を家に泊めたのですが、覗いてはいけないといわれていた障子を開けてしまいます。正体がばれてしまったカラス天狗は、忠左衛門さんの屋敷にある一番高い杉の木のてっぺんをめがけて飛んでいってしまいました。

「カラス天狗と祭り見物」の舞台である“忠左衛門さんのお屋敷”が、実はこのプロジェクトが始まるきっかけとなりました。

「カラス天狗と祭り見物」の舞台である“忠左衛門さんのお屋敷”が、実はこのプロジェクトが始まるきっかけとなりました。

増尾ふるさと会館の入口には、このお話の看板が設置されています。QRコードをスマートフォンで読み取ると、その場でお話を視聴することができますよ。

増尾ふるさと会館の入口には、このお話の看板が設置されています。QRコードをスマートフォンで読み取ると、その場でお話を視聴することができますよ。

忠左衛門という屋号をもつ伊藤さんがいらっしゃることから、この民話に登場する忠左衛門さんのお屋敷は、写真中央の森の右側辺りだと推測されます。(左側手前の建物が増尾ふるさと会館。)

忠左衛門という屋号をもつ伊藤さんがいらっしゃることから、この民話に登場する忠左衛門さんのお屋敷は、写真中央の森の右側辺りだと推測されます。(左側手前の建物が増尾ふるさと会館。)

イベント終了後、押味リーダーに直撃取材!

「民話の里づくりプロジェクト」のリーダーである押味富士子さんに、イベント終了後、中島さんとの出会いについてお話を伺いました。

「ちょうど昨年の今ごろ、中島さんが増尾町会に住む高校時代の先輩に『忠左衛門さんの家どこ?』と尋ね、それがきっかけで紹介されたんです。
それから、増尾の長老の方々にお話をうかがったり、町会の役員さんを中心に勉強会を実施したりして、民話を核にした街づくりをしようと盛り上がっていき、プロジェクトが発足しました。」

さらに、地元の小中学生と看板を作ったり、読み聞かせや紙芝居を実施したり、散策マップを作ったり…と、次々と押味さんからアイディアが飛び出し、プロジェクトの可能性は無限大。
「子どもたちが楽しめるような企画に。遊びながら伝えていければ…」と、終始、笑顔で答えてくださった押味さんでした。

プロジェクト・メンバーの花島和宏さん(左)、築田善弘さん(右)と。「若い人たちが一緒にやってくれるから心強い」と押味さん。

プロジェクト・メンバーの花島和宏さん(左)、築田善弘さん(右)と。「若い人たちが一緒にやってくれるから心強い」と押味さん。

講演後の中島さんにも直撃!

講演後の中島さんにも、増尾町会の取り組みについてお話をうかがいました。

「市や県に歴史資産を保護してもらうような働きかけも重要ですが、自分たちで自分たちが住む地域の歴史や文化をどう守っていくのか、どう後世に伝えていくのか、ここが最も重要なポイントだと思います。
増尾では、町会として民話の里づくりプロジェクトを立ち上げ、市や学校やふるさと協議会を巻き込み、今回のお話し会を企画するなど、目を見張る活動ぶりです。」

今後については「観光協会としてもできる限りの協力をしたい。また市内の他の地域でも同様の動きが広がっていけば…」と、熱く語ってくださいました。

講演後、花束を贈呈される中島さん。曰く「すでに増尾町会の誰にも負けないくらい『増尾ラブ♡』になってしまいました」。

講演後、花束を贈呈される中島さん。曰く「すでに増尾町会の誰にも負けないくらい『増尾ラブ♡』になってしまいました」。

増尾のオシャレでモダンな喫茶店「MONA」

増尾の歴史スポットを散策した後に訪れたいオススメのカフェを教えてほしいと、増尾の方々に伺ったところ、複数の方から「MONA(モナ)」の名前が挙がりました。

創業43年のMONAさんは、増尾駅西口から徒歩3分のところにあります。ランチセットでは、メインのカレーまたはスパゲッティに、サラダ、スープ、デザート、飲み物がついていて、こちらも魅力的!

創業43年のMONAさんは、増尾駅西口から徒歩3分のところにあります。ランチセットでは、メインのカレーまたはスパゲッティに、サラダ、スープ、デザート、飲み物がついていて、こちらも魅力的!

店内には、マスター夫婦の甥御さんが描かれたという、私好みの色彩豊かな絵が飾ってありました。

店内には、マスター夫婦の甥御さんが描かれたという、私好みの色彩豊かな絵が飾ってありました。

「黒蜜きなこのロールケーキ」を注文。きなこや餡クリームがスポンジと調和していて、コーヒーとの相性も抜群です! ザラメの砂糖を出してくれるのもウレシイ!

「黒蜜きなこのロールケーキ」を注文。きなこや餡クリームがスポンジと調和していて、コーヒーとの相性も抜群です! ザラメの砂糖を出してくれるのもウレシイ!

窓際の席で、1時間ほどゆっくり過ごしました。店内はオルゴールの曲が流れていて、オシャレなインテリアやマスター夫婦の笑顔とともに、癒しの空間。今日一日で私も増尾が大好きになりました。

窓際の席で、1時間ほどゆっくり過ごしました。店内はオルゴールの曲が流れていて、オシャレなインテリアやマスター夫婦の笑顔とともに、癒しの空間。今日一日で私も増尾が大好きになりました。

MONA

  • 【住所】千葉県柏市加賀3-28-8
    【電話番号】04-7174-9696
    【営業時間】9:00~19:00(モーニング9:00~11:00、ランチ11:00~14:00)
    【定休日】火曜日

萬福寺

  • 【住所】千葉県柏市増尾4-14-1

妙見堂跡

  • 【住所】千葉県柏市増尾844

廣幡八幡宮

  • 【住所】千葉県柏市増尾895
    【電話番号】04-7173-8081

増尾ふるさと会館

  • 【住所】千葉県柏市増尾4丁目1-33

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」を立ち上げる(2022年市民公益活動団体登録)。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。2024年8月柏に特化した観光会社「かしわグリーン観光社」を設立、代表を務める。

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