【柏】はまる!手賀地域!(その2)旧教会堂以外も見どころはいっぱい!

【柏】はまる!手賀地域!(その2)旧教会堂以外も見どころはいっぱい!

前回は、柏の名所中の名所「旧手賀教会堂」についてお話しましたが、今回は、周辺の見どころスポットをご紹介します。
キーワードは「原氏」と「キリスト教」。
このあたりの歴史がわかってくると、手賀地域の魅力に、はまっちゃうこと間違いなし!!

道の駅しょうなん方面から手賀沼沿いに自転車を走らせて手賀地域に入るときのコースマップです。

道の駅しょうなん方面から手賀沼沿いに自転車を走らせて手賀地域に入るときのコースマップです。

湯浅邸長屋門

湯浅家は、手賀村で、江戸時代中期から代々名主を務めてきた有力な農家。手賀教会堂の設立に携わった有力者の一人が湯浅長左衛門です。
中世には、湯浅家は、千葉氏一族の手賀原氏(※)の重臣だったといわれています。

※生実(おゆみ)城(現在の千葉県中央区)を拠点とする「原氏本家」に対して、手賀地域を本拠地とした原氏を「手賀原氏」と区別して呼ぶことがあります。

ちなみに、「長屋門」というのは、門の両側に部屋が連なっている形式の門のことです。江戸時代に、城下町の武家屋敷の門として始まったもので、長屋の真ん中に門があるように見えるところから長屋門といわれるようになりました。

柏市の景観重要建造物に指定されています。(個人宅なので、中には入らないようにしましょう!)

柏市の景観重要建造物に指定されています。(個人宅なので、中には入らないようにしましょう!)

興福院

平安初期に創建されたといわれる真言宗豊山(ぶざん)派のお寺。
鎌倉時代に再興され、戦国時代には手賀原氏の戦勝祈願寺になったと伝えられています。

ところで、真言宗には豊山派と智山(ちざん)派という宗派がありますが、豊山派は"将門シンパ"という意味をもっていて、柏や我孫子には豊山派が圧倒的に多いんです。
一方、有名な成田山新勝寺は、実は、朝廷に対して反乱をおこした平将門征伐の祈願をおこなったことが始まりとされ、「アンチ将門」の意味をもつ智山派なんです!!

柏を含む旧相馬郡は、中世には相馬氏がおさめていたのですが、この相馬氏には、将門の子孫という伝承があります。そのため、豊山派のお寺もたくさん作られたと考えられるのです。

相馬氏は、千葉氏中興の祖といわれる「千葉常胤(つねたね)」の次男「相馬師常(もろつね)」を初代とする千葉一族の系統。 千葉常胤は頼朝を支え、鎌倉幕府成立に貢献した人物。2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で岡本信人さんが演じます。

相馬氏は、千葉氏中興の祖といわれる「千葉常胤(つねたね)」の次男「相馬師常(もろつね)」を初代とする千葉一族の系統。 千葉常胤は頼朝を支え、鎌倉幕府成立に貢献した人物。2022年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で岡本信人さんが演じます。

手賀城址

手賀城は、戦国時代に手賀原氏が築城したといわれています。
とはいうものの、手賀城の城主として確実な記録が残っているのは、最後の城主である原久胤(ひさたね)だけなんです。

原氏は、天正18年(1590)の豊臣秀吉の小田原攻めのときに、北条氏とともに滅び、久胤は手賀村に隠棲して、文禄元年(1592)に31歳の若さで亡くなりました。その後、弟の胤次(たねつぐ)が家督をつぎ、江戸町奉行の与力として登用され、以来、徳川家に仕えることになります。

この先端の稲荷神社から手賀沼をのぞむ景色は、何回見ても涙腺がゆるみます。(私だけ?)

この先端の稲荷神社から手賀沼をのぞむ景色は、何回見ても涙腺がゆるみます。(私だけ?)

百庚申

布瀬地区の入口にあたるところには、県道柏・印西線に沿って、庚申塔が100基以上並んでいて、壮観です。
これらは、文政7年(1824)から明治8年(1875)にかけて建てられたものです。

庚申信仰は、中国の民間信仰である道教に由来します。
道教では「三尸(さんし)」という3匹の虫が人間の体内に住んでいて、庚申の日の夜になると、人が寝ている間に抜け出して、天帝にその人の悪事を報告しにいき、密告された人は寿命が縮むと信じられていました。
そのため、60日に一度おとずれる庚申の日に、みんなで集まって徹夜で過ごす庚申講がおこなわれ、その記念に庚申塔が建てられるようになったのです。

初期の文政7年から天保3年頃までは、ほぼ毎月1基ずつ建立されているので、多くの功徳を得るために、たくさんの庚申塔が建てられたと考えられます。

初期の文政7年から天保3年頃までは、ほぼ毎月1基ずつ建立されているので、多くの功徳を得るために、たくさんの庚申塔が建てられたと考えられます。

庚申信仰の本尊は「青面(しょうめん)金剛」という道教思想に由来する神様。このように邪鬼を踏みつけている姿はよく見られます。金剛さま、けっこうキュートだと思いませんか?

庚申信仰の本尊は「青面(しょうめん)金剛」という道教思想に由来する神様。このように邪鬼を踏みつけている姿はよく見られます。金剛さま、けっこうキュートだと思いませんか?

兵主(ひょうす)八幡神社

兵主八幡神社は、戦国時代に手賀原氏の氏神として祀られていたもので、兵主神社と八幡社を合祀した神社です。
現在の本殿は、文化14年(1817)に手賀村と片山村によって建てられました。

毎年7月第一日曜日におこなわれる「手賀ばやし」(柏市の指定文化財)は、興福院境内での神事のあと、神輿や山車を引いて兵主八幡神社に向い、その帰り道に演じられます。

境内には、一直線の通りがあるのですが、参道ではなく「馬場」と呼ばれ、原氏が軍馬の訓練をおこなった場所だと伝えられています。

境内には、一直線の通りがあるのですが、参道ではなく「馬場」と呼ばれ、原氏が軍馬の訓練をおこなった場所だと伝えられています。

原氏墓所

県道柏・印西線沿いの山林の中には、原氏の墓所があります。
原氏の末裔には、原胤昭(たねあき)(1853~1942)という人物がいたことも、この機会にぜひ知っていただきたいです。

胤昭は、明治維新後は東京府に勤務し、のちにキリスト教の洗礼を受けました。江戸初期にキリスト教に入信して殉教した原氏宗家の原主水(もんど)の信仰心に感銘を受けたといわれています。

明治16年(1883)に政治犯として石川島監獄に投獄され、このときの体験から、胤昭は生涯、受刑者の更生や保護に身をささげることになりました。胤昭が保護した出獄者は1万人を超えるといわれます。

墓所には、原胤次(たねつぐ)など城主ゆかりの人々を弔う五輪塔のほか、胤昭とその家族の墓、そして、背後には、引き取り手のない出獄者の墓石も並んでいます。

墓所には、原胤次(たねつぐ)など城主ゆかりの人々を弔う五輪塔のほか、胤昭とその家族の墓、そして、背後には、引き取り手のない出獄者の墓石も並んでいます。

この地域は、原氏の歴史が詰まった土地、キリスト教との関わりが濃い土地ということが、おわかりいただけましたか?
そんなストーリーのもと、旧手賀教会堂と周辺のスポットをめぐってみると、この地に生きてきて人たちの思いに触れられるような気がして、手賀地域が愛おしく思えるのではないでしょうか。

手賀地域の歴史スポットについては、「ちゃーりんぐ柏」の最新の動画でもご紹介しているので、よろしかったらご覧になってみてください。

↓↓ちゃーりんぐ柏「手賀コース編」ダイジェスト版(23分)はコチラ↓↓

旧手賀教会堂付近を訪れたときに立ち寄りたいお店

最後に、旧手賀教会堂付近のユニークなお店をご紹介しましょう。

“手賀のコンビニ”「海老原商店」さん。100年以上続く老舗商店です。

“手賀のコンビニ”「海老原商店」さん。100年以上続く老舗商店です。

昔ながらの正統派のおかきを製造販売している「深山商店」さん。脂っぽくないので、ついつい後を引いちゃいます!イチ押しはしょうゆ味!

昔ながらの正統派のおかきを製造販売している「深山商店」さん。脂っぽくないので、ついつい後を引いちゃいます!イチ押しはしょうゆ味!

アンティークな店舗がおしゃれなお花屋さん「harumien okutega」さん。今年5月にオープンしたばかり!2021年の営業は12月29日(水)までで、2022年の営業は4月からになります。

アンティークな店舗がおしゃれなお花屋さん「harumien okutega」さん。今年5月にオープンしたばかり!2021年の営業は12月29日(水)までで、2022年の営業は4月からになります。

湯浅邸長屋門

  • 【住所】千葉県柏市手賀725

兵主八幡神社

  • 【住所】千葉県柏市手賀1418

海老原商店

  • 【住所】千葉県柏市手賀624
    【営業時間】7:00~18:00
    【定休日】日曜日

深山商店

  • 【住所】千葉県柏市手賀683
    【営業時間】9:00~16:00
    【定休日】金・土・日曜日

harumien okutega

  • 【住所】千葉県柏市手賀787-1
    【電話】090-4963-6824
    【営業時間】10:00~17:00
    【営業日】4,5,6,10,11,12月の水・金・土・日曜日
    【定休日】月・火・木曜日 ※1,2,3,7,8,9月はお休み

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」プロジェクトを立ち上げ、2022年市民公益活動団体として登録。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。

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