【柏】駅周辺の歴史を深堀り!(続き)馬がいた痕跡「野馬土手」へ!

【柏】駅周辺の歴史を深堀り!(続き)馬がいた痕跡「野馬土手」へ!

前回の記事では「柏市郷土資料展示室」で開催中の「柏と明治の開拓と渋沢栄一と。」の企画展の見どころをご紹介し、柏を含む下総の国は平安時代にすでに馬牧場であったこと、江戸時代には、柏市内の西側は「小金牧」とよばれる軍馬供給地だったことをお話ししました。
今回は、実際に馬がいた痕跡をたどってみましょう。

↓前回の記事はこちら↓

今も残る小金牧の痕跡――野馬土手

小金牧内に点在していた村に、野馬が入って農地を荒らされないようにするために、江戸時代には、牧と村の間に「野馬土手(のまどて)」という土手が築かれました。

実は、柏をはじめ東葛地域では、今でもあちこちで野馬土手の一部が見られるんです。
土手をめぐってどんなドラマが繰り広げられてきたか――もう単なる“土の盛り上がり”には見えません!!
今回は、柏市全域のなかから、オススメの3つの土手をご紹介いたします。

①馬もおぼれた? こんぶくろ池の野馬土手

小金牧には5つの牧があり、そのうち、柏市エリアが含まれるのは高田牧と上野牧(かみのまき)。前者は明治の開墾で十余二に、後者は豊四季になりました。

まず、高田牧のユニークな野馬土手を一つご紹介します。
現在、柏市北部の十余二は、近代的な開発がすすんでいますが、国立がん研究センターの裏手に、貴重な自然の森である「こんぶくろ池自然博物公園」が残されています。

こんぶくろ池の湧水は、大堀川を経て、手賀沼に注いでいます。
この池は馬たちの飲み水ともなっていたようで、文政6年(1823年)には、野馬が池に落ちて死んだことを正連寺の名主が届け出たという記録も残っています。

「NPOこんぶくろ池自然の森」の方々が園内を整備・管理しています。

「NPOこんぶくろ池自然の森」の方々が園内を整備・管理しています。

園内には数か所の野馬土手が残されているので、多様な生物を育む自然を眺めながら、野馬土手探しも楽しめますよ~!

園内には数か所の野馬土手が残されているので、多様な生物を育む自然を眺めながら、野馬土手探しも楽しめますよ~!

②最も保存状態がいい? 南柏駅近くの野馬土手

次は、上野牧の野馬土手です。

国内で最も保存状態が良い野馬土手のひとつといわれているのが、JR南柏駅近く、柏と流山の境にある「南柏特別緑地保全地区・松ヶ丘特別緑地保存地区」の野馬土手。

かつては大型ゴミの不法投棄もされていたそうですが、「豊四季むらを知る会」の方々が中心となって、毎月1回、清掃活動をおこなっていることで、美観が保たれています。

低い方(写真右側)が柏市(牧側)、高い方(写真左側)が流山市(村側)となっています。この中を通っていくと、ちょっとした冒険気分が味わえて、ワクワクしますよ!

低い方(写真右側)が柏市(牧側)、高い方(写真左側)が流山市(村側)となっています。この中を通っていくと、ちょっとした冒険気分が味わえて、ワクワクしますよ!

「豊四季むらを知る会」のほか、現在は、流山の松ヶ丘老人会「寿会」のメンバーも清掃活動に加わっていますが、依然として、後継者不足が悩みの種だそうです。両市の市民の手で、美しい野馬土手を守っていきたいですね。

「豊四季むらを知る会」のほか、現在は、流山の松ヶ丘老人会「寿会」のメンバーも清掃活動に加わっていますが、依然として、後継者不足が悩みの種だそうです。両市の市民の手で、美しい野馬土手を守っていきたいですね。

③日本一有名? 緑ヶ丘交番前交差点の野馬土手

三協フロンテア柏スタジアム(日立柏サッカー場)前の交差点には、あかね町側に野馬土手の碑があり、100メートルほど土手が連なっているのをご存じでしょうか?
もっとも、柏駅からレイソル通りにいたるまでの、斜めに走っている道はかつての野馬土手。
柏市内外の多くの方々が、この野馬土手の跡を通っているということになりますね。

「小金原の野馬除土手跡」の石碑。ここを訪れる多くの人が、石碑があることには気づいていると思いますが…。

「小金原の野馬除土手跡」の石碑。ここを訪れる多くの人が、石碑があることには気づいていると思いますが…。

この土手は、かつては名戸ヶ谷の谷津田(谷間にできた水田)があったところまで続いていました。(写真向かって奥が、緑ヶ丘交番前交差点です。)

この土手は、かつては名戸ヶ谷の谷津田(谷間にできた水田)があったところまで続いていました。(写真向かって奥が、緑ヶ丘交番前交差点です。)

緑ヶ丘交番前交差点の野馬土手を訪れたら寄りたいお店――グリル&パスタ 一魂

野馬土手は、牧全体を囲っていたのではなく、谷津を下った湿田で仕切られることも多いようです。
緑ヶ丘交番前交差点から、土手に沿って下っていくと(すでに土手はなくなっていますが)、「グリル&パスタ
一魂(ikkon)」という“イタリアン食堂”があります。
オーナーさんにお店のモットーを伺ったら、「名前の通りですよ」と、少しはにかんだ笑顔で答えてくださいました。

野馬土手散策のあとは、一魂さんで気持ちのこもった美味しいお料理をいただいて、エナジーチャージするのはいかがですか?

石窯ナポリ風ピッツァの「マルゲリータ」。トマトの酸味、チーズのコク、生地の歯ごたえが絶妙です!

石窯ナポリ風ピッツァの「マルゲリータ」。トマトの酸味、チーズのコク、生地の歯ごたえが絶妙です!

締めは「デザート盛り合わせ」(日によって内容は変わるそうです)。このティラミス、いくらでも食べられちゃいそう!!

締めは「デザート盛り合わせ」(日によって内容は変わるそうです)。このティラミス、いくらでも食べられちゃいそう!!

グリル&パスタ 一魂(ikkon)

  • 【住所】柏市名戸ヶ谷1-7-41
    【電話】04-7164-3377
    【営業時間】ランチ:11:30~15:00(L.O.14:30)、ディナー:17:30~22:00(L.O.21:00)

こんぶくろ池自然博物公園

  • 【住所】柏市中十余二399-1

南柏特別緑地保全地区

  • 【住所】柏市豊四季字弁天谷

「小金原の野馬除土手跡」碑

  • 【住所】柏市あかね町11-11

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」プロジェクトを立ち上げ、2022年市民公益活動団体として登録。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。

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