【柏】駅周辺の歴史を深堀り!キーワードは渋沢と馬?柏市郷土資料展示室へ

【柏】駅周辺の歴史を深堀り!キーワードは渋沢と馬?柏市郷土資料展示室へ

柏駅周辺が昔どんな場所だったか?――意外と知られていないのではないでしょうか。
馬の放牧地だったんでしょ…くらいの認識しかなかった私ですが、「柏市郷土資料展示室」で開催中の「柏と明治の開拓と渋沢栄一と。」の企画展は目から鱗ものでした。
展示を見たあとは、“かしわ愛”がいちだんと増しますよ!

見どころ〈その1〉馬の放牧地だった頃の様子がわかる!

柏を含む下総の国は、平将門が活躍した平安時代にはすでに朝廷直属の馬牧場。
江戸時代には、柏市内の西側は「小金牧」の一部として徳川幕府の軍馬供給地でした。
(東側は手賀沼や利根川を利用した交通の要衝だったので、独自の文化が発達。)

小金牧では、八代将軍・徳川吉宗以降、害獣駆除のため、また、幕府の武威を誇示するために、「御鹿狩(おししがり)」という一大イベントが4回開催されました。
数万人の近隣の農民たちが獲物を追い立てる「勢子」として招集され、江戸からも見物客が訪れるほど。
そんな様子を描いた錦絵が何点か展示されています。

《小金原牧狩引揚ノ図》「御鹿狩」の様子を伝える貴重な資料ですが、錦絵としての美しさもぜひ本物で感じていただきたい!

《小金原牧狩引揚ノ図》「御鹿狩」の様子を伝える貴重な資料ですが、錦絵としての美しさもぜひ本物で感じていただきたい!

《小金原牧狩立場之図》当時将軍は、右上に描かれた「お立ち台」ならぬ「御立場(おたつば)」で狩りを見物していたそうです。

《小金原牧狩立場之図》当時将軍は、右上に描かれた「お立ち台」ならぬ「御立場(おたつば)」で狩りを見物していたそうです。

見どころ〈その2〉開墾闘争80年の歴史がわかる!

明治維新直後、東京の人口の約2割が生活困窮者になったため、新政府は、小金牧を耕して農地にする開墾事業に着手、三井組を中心とする開墾会社に実務を担わせました。
現在の柏市に相当する開墾地は「豊四季(とよしき)」と「十余二(とよふた)」の2か所。当時の豊四季は、柏駅周辺までおよぶ広大なエリアでした。
しかし、新政府側の計画の甘さから、この開墾事業は3年で中止になり、当初の約束を反故にされた開墾者(農民)たちの、三井組に対する長く苦しい闘いが始まります。

全てはこの甘い誘い文句の「入植者募集」から始まった…。わかりやすく現代風の案内にアレンジしてあります。その後の闘争の経過については会場の展示で!

全てはこの甘い誘い文句の「入植者募集」から始まった…。わかりやすく現代風の案内にアレンジしてあります。その後の闘争の経過については会場の展示で!

「豊四季(とよしき)」「十余二(とよふた)」の名前をつけたのはこの人! 「豊四季」は4番目の入植地、「十余二」は12番目の入植地という意味です。

「豊四季(とよしき)」「十余二(とよふた)」の名前をつけたのはこの人! 「豊四季」は4番目の入植地、「十余二」は12番目の入植地という意味です。

見どころ〈その3〉渋沢栄一の働きかけがあったからこその終結!

「真正の利殖は仁義道徳に基づかなければ、決して永続するものではない」と、道徳と経済の両立をモットーとした渋沢栄一。
そんな渋沢が、三井組のキーマンと接触することで、開墾者(農民)に配慮した形で長い闘いに終止符を打つことができたことがわかります。

”三井の大番頭”三野村利左衛門。渋沢は三野村に働きかけます。

”三井の大番頭”三野村利左衛門。渋沢は三野村に働きかけます。

渋沢栄一はどんなに多忙でも、文書は全て自分で書いていたそうです。後年の手紙との筆跡の違いを会場でご覧ください!

渋沢栄一はどんなに多忙でも、文書は全て自分で書いていたそうです。後年の手紙との筆跡の違いを会場でご覧ください!

締めは、吉沢くんコーナー、いえ、「青天を衝け」コーナーで。

締めは、吉沢くんコーナー、いえ、「青天を衝け」コーナーで。

鑑賞のお土産に「アシエットブラン」のケーキはいかが?

郷土資料展示室(沼南庁舎)の目の前には「アシエットブラン」というケーキ屋さんがあります。
お店の方いわく「特別な日のケーキではなく、気軽に食べていただきたい!」
余計なものを入れず、小麦粉・卵・乳製品・アーモンドなど、厳選したシンプルな材料だけで作られたオリジナルケーキやクッキーは、ほっとするお味です。

明るい水色の壁が目をひきます。コロナ禍では喫茶ルームはお休み。

明るい水色の壁が目をひきます。コロナ禍では喫茶ルームはお休み。

私のイチ押しは「モンブラン」。タルトのアーモンドとモンブランクリームが絶妙に調和しています!

私のイチ押しは「モンブラン」。タルトのアーモンドとモンブランクリームが絶妙に調和しています!

小金牧について知識を深めたら、今度は、牧内の馬が逃げて農地を荒らさないようにするために、牧と村との境に築かれた「野馬土手(のまどて)」を巡ってみましょう!
次回も“深堀り”にぜひお付き合いください!

「柏と明治の開拓と渋沢栄一と。」

アシエットブラン

  • 【住所】柏市大津ヶ丘1-1-1
    【電話番号】04-7192-2450
    【営業時間】10:00~18:00
    【定休日】木曜日、その他指定日

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」プロジェクトを立ち上げ、2022年市民公益活動団体として登録。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。

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