【柏】地域総ぐるみ! 民話でまちづくり! 増尾町会「民話の里づくりフェスティバル」

【柏】地域総ぐるみ! 民話でまちづくり! 増尾町会「民話の里づくりフェスティバル」

柏市屈指の歴史文化遺産を誇る増尾。
一昨年、増尾町会では、町会内に伝わる6つの民話を活用して地域活性化をはかるため、「民話の里づくりプロジェクト」を発足させました。

昨年の「ますお今昔ものがたり ~民話の中の増尾村~」のお話し会の記事に引き続き、今回は、国登録有形文化財「伊藤家住宅」のある「きつね山」で開催された「民話の里づくりフェスティバル」の様子をご紹介します。

きつね山(幸谷城跡)の入口。右側の敷地は柏市が買い上げて歴史公園となり、現在は「柏ふる里つくり隊」が管理しています。

きつね山(幸谷城跡)の入口。右側の敷地は柏市が買い上げて歴史公園となり、現在は「柏ふる里つくり隊」が管理しています。

ふだん立ち入ることができない伊藤家でイベントが開催されるというだけでもワクワクします!

ふだん立ち入ることができない伊藤家でイベントが開催されるというだけでもワクワクします!

太田柏市長のご挨拶にほろり

伊藤家の敷地に足を踏み入れると、柏市長をはじめ、土小学校校長、芝浦工業大学柏中学校・高等学校校長、柏市観光協会会長、ニッカウヰスキー総務部長…と多数の来賓の方々!!

「昨年の土小の今昔ものがたりに出席し、きつね山の話を聞いてしっかり見てみたいと思い、本日来ることができてうれしい。国の文化財、森の中には城跡、髙島野十郎のアトリエ…と歴史、自然、芸術がそろっている。伊藤さんの残したいという思いが子どもの未来につながる。」
太田市長のスピーチに既に涙腺がゆるくなった筆者です。

柏市では、まちづくりの合言葉「つづくを、つなぐ。」を発表したばかり。太田市長の右に見えるのが増尾町会会長・伊藤薫さん、その隣に伊藤家当主・伊藤泰彦さん。

柏市では、まちづくりの合言葉「つづくを、つなぐ。」を発表したばかり。太田市長の右に見えるのが増尾町会会長・伊藤薫さん、その隣に伊藤家当主・伊藤泰彦さん。

「回生の里太鼓隊東風(とうふう)」さんによる和太鼓の演奏で、勢いよくイベントがスタート!

「回生の里太鼓隊東風(とうふう)」さんによる和太鼓の演奏で、勢いよくイベントがスタート!

特別養護老人ホーム「新柏ヴィヴァンホーム」さんの野点の抹茶サービス。和服でのおもてなしに、会場に華やかさを添えています。お茶も味わい深くて本当に美味しかった!

特別養護老人ホーム「新柏ヴィヴァンホーム」さんの野点の抹茶サービス。和服でのおもてなしに、会場に華やかさを添えています。お茶も味わい深くて本当に美味しかった!

民話の紙芝居①大山氏の語りにほろり

この日は特別にご当主に伊藤家主屋を開放していただき、逆井の学校支援団体「十色(といろ)咲かそう会」の大山小夜子さんにより、「鷲山のむじな」と「とったり庄兵衛」の大型紙芝居が上演されました。

国登録有形文化財の伊藤家住宅の主屋。地元の歴史ある建造物の中で、地元の民話を聞くことができるって、ステキですね。

国登録有形文化財の伊藤家住宅の主屋。地元の歴史ある建造物の中で、地元の民話を聞くことができるって、ステキですね。

35年前にこの地域に伝わる民話を紙芝居にしたという大山さん。
一つ目の「鷲山のむじな」を上演するにあたり、今から100年くらい前の情景として、増尾の長老と話をしたエピソードから始まりました。
「昔はいたずらむじなの肉を食った。」
「おいしかったですか?」
「うまくね。」


会場の子どもも大人も、大山さんにくぎ付けです。

「鷲山のむじな」は、「おも」という女の子と母親、“むじな”のほのぼのストーリー。
お話は柏市観光協会のホームページをご覧ください。

「紙芝居として聞かせていただくと、自分で読んだときと印象が変わりますね」と、隣にいたお客さん。同感です。「鷲山のむじな」を最後まで聞いて、うるっときました。

「紙芝居として聞かせていただくと、自分で読んだときと印象が変わりますね」と、隣にいたお客さん。同感です。「鷲山のむじな」を最後まで聞いて、うるっときました。

おもの家は増尾5丁目にある「鷲ノ山公園」のあたりとされています。「むじな」の名称は、逆井に「むじな台」として残っているんですよ。

おもの家は増尾5丁目にある「鷲ノ山公園」のあたりとされています。「むじな」の名称は、逆井に「むじな台」として残っているんですよ。

民話の紙芝居②中島氏がつくる場の雰囲気にほろり

中庭では柏市観光協会・中島貴洋さんの紙芝居が披露されました。
柏市観光協会では、語り部を育成し学校等に派遣する「かしわ民話保存会」を今月設立したばかり。
この日は、同会の代表であり、柏市観光協会の事務局長でもある中島さんが自ら公演。
子どもたちは、アイスキャンデーを食べながら、「鷲山のむじな」「水戸屋稲荷物語」に聞き入っていました。
昭和にタイムスリップしたような懐かしい雰囲気に、またうるっときた筆者です。

「お客さんと目があわないんですよ。みんな、紙芝居の方を見ている」と子どもたちの集中ぶりを嬉しそうに語る中島さん。

「お客さんと目があわないんですよ。みんな、紙芝居の方を見ている」と子どもたちの集中ぶりを嬉しそうに語る中島さん。

「語り部はスタートしたばかり。半年じっくり時間をかけて、来年の春くらいからイベントに派遣できるようにしていきたい」と抱負を語ってくれました。

「語り部はスタートしたばかり。半年じっくり時間をかけて、来年の春くらいからイベントに派遣できるようにしていきたい」と抱負を語ってくれました。

プロジェクトリーダー・押味富士子氏に聞く、地域力!

⸺昨年は4つの看板を設置し、土小学校での中島さんの公演、ウォーキングなど、精力的に活動されていますが、今回のフェスティバルはなぜ開催しようと思ったのですか?

押味さん:伊藤家を知ってもらいたいと思ったからです。また、コロナ禍で断絶したものをスタートさせて、地域の元気を取り戻したいと思いました。

当日の来場者は約700人! スタッフもプロジェクトメンバーを中心に、町会、PTA、土小学校の子どもたちなど約80人の方々が参加したそうです。

当日の来場者は約700人! スタッフもプロジェクトメンバーを中心に、町会、PTA、土小学校の子どもたちなど約80人の方々が参加したそうです。

ゲームコーナーは、240個の景品が昼頃にはほとんどなくなってしまうほどの大盛況ぶり!

ゲームコーナーは、240個の景品が昼頃にはほとんどなくなってしまうほどの大盛況ぶり!

⸺地域の様々な方々が協力しているというところがすごいですよね。民話の看板の設置では、土小学校の生徒さんと一緒に制作したそうですね。

押味さん:はい。木に防腐剤をぬったりバーナーで焼き付けたり、地域の大人と多世代で楽しく作業しました。土小学校では、6年生の地域学習の授業で、柏市観光協会さんが増尾の歴史と民話についてお話しくださっているので、地域の歴史に親しみをもつ子どもたちが少しずつ増えていて、うれしいですね。

⸺今日もブースが出ていますが、昨年は芝浦工業大学柏高校の美術部とマップ制作で連携していらっしゃいますね。

押味さん:はい。今年は、芝柏の文化祭にも出展して、プロジェクトの取り組みを知っていただき、また、大型紙芝居を使って増尾の魅力を知っていただこうと思ってます。

芝浦工業大学柏高等学校美術部のブース。この日は、美術部顧問の先生が、オリジナル缶バッチをお子さんに配布していました。

芝浦工業大学柏高等学校美術部のブース。この日は、美術部顧問の先生が、オリジナル缶バッチをお子さんに配布していました。

柏のむかしばなし「カラス天狗と祭り見物」のかわいいイラストが描かれています。

柏のむかしばなし「カラス天狗と祭り見物」のかわいいイラストが描かれています。

↓↓「カラス天狗と祭り見物」のお話は柏市観光協会のホームページをご覧ください↓↓

⸺今後、プロジェクトはどのような展開になるのですか?

押味さん::今、「まれいど」の看板がある妙見堂近くの弁財天の前に、四阿(あずまや)を設置し、皆さんに心地よく使ってもらえるコミュニティスペースにする準備をしています。また、土小学校の授業で、民話の里に残る坂道の看板を制作していきます。それから、引き続き、ウォーキングイベントを企画していきたいです。

⸺地元の方々を誘い込む企画が次々と展開されていきますね! 今日は本当に楽しかったです。ありがとうございました。

↓↓「まれいど」のお話は柏市観光協会のホームページをご覧ください↓↓

プロジェクトリーダーの押味さん。民話に興味を持つようになったのは、「十色咲かそう会」の大山さんの影響だったそうです。

プロジェクトリーダーの押味さん。民話に興味を持つようになったのは、「十色咲かそう会」の大山さんの影響だったそうです。

妙見堂跡には子どもたちと作り上げた看板が建てられています。その脇には「民話の小径」とよばれる趣きのある小道があり、こちらも今後整備していくとのこと。

妙見堂跡には子どもたちと作り上げた看板が建てられています。その脇には「民話の小径」とよばれる趣きのある小道があり、こちらも今後整備していくとのこと。

妙見堂跡の脇にある弁天堂の前に、四阿(あずまや)を設置予定。地元の方だけでなく、ウォーキングやサイクリングの際にも立ち寄らせていただいて、一息つきたいですね。

妙見堂跡の脇にある弁天堂の前に、四阿(あずまや)を設置予定。地元の方だけでなく、ウォーキングやサイクリングの際にも立ち寄らせていただいて、一息つきたいですね。

最後に…

学校との連携を深めながら、子どもたちが、民話や歴史を通じて自分の地域に誇りと愛着を持ち、積極的に地域に関わるようになる⸺。
押味さんの楽しくポジティブに活動する姿が、「楽しい」の連鎖を引き起こし、「民話の里づくりプロジェクト」を大きく推進しているように感じました。
今後も増尾町会から目が離せないですね!

実は、ちゃーりんぐ柏でも、押味さんや柏市観光協会の中島さんの協力のもと、11月に高校生対象のサイクリングツアーを開催する予定です。「この自転車は重くてサイクリングはできないよ」と中島さん。

実は、ちゃーりんぐ柏でも、押味さんや柏市観光協会の中島さんの協力のもと、11月に高校生対象のサイクリングツアーを開催する予定です。「この自転車は重くてサイクリングはできないよ」と中島さん。

きつね山歴史公園

  • 柏市増尾4丁目
    ※敷地内左側の伊藤家住宅は私有地につき、通常は立ち入りできません。

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※記事に掲載した内容は公開日時点の情報です。変更される場合がありますので、お出かけ、サービス利用の際はHP等で最新情報の確認をしてください

  • ヒデ爺

    2023年06月28日 07時57分

    焼き鳥とゲームコーナーのお手伝いしていたので、見られていないところが多く、この記事で知ったことがいっぱいです。 素晴らしい、記事をありがとうございます😊

    • 「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

      2023年07月05日 17時11分

      コメントありがとうございます。一人ひとりの皆さんが盛り上げていて、大盛況でしたよね!増尾町会の団結力、素晴らしいです!

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この記事を書いたのは…

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「ちゃーりんぐ柏」代表石井雅子

柏生まれ柏育ち。編集者・箏(こと)奏者。市民活動家の両親が2015年前後に他界したことをきっかけに、柏に興味を持つようになる。2021年、柏の歴史スポットを自転車で巡る「ちゃーりんぐ柏」プロジェクトを立ち上げ、2022年市民公益活動団体として登録。2023年5月、補助金申請や情報発信、連携などをサポートする中間支援団体「ジセダイ歴史文化継承研究所」を設立、事務局長を務める。

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